出典 大相撲協会
優勝決定戦 安青錦 豊昇龍を力強い押しで攻め、背後に回り込んで送り投げで破り初優勝 大関昇進確実に 豊昇龍、痛恨の4連敗
安青錦 内無双で琴櫻を破る 豊昇龍と優勝決定戦に
大の里 一昨日の安青錦戦で肩を痛め、休場。豊昇龍の不戦勝
- ウクライナ出身の安青錦 初優勝
安青錦新大
本名ダニーロ・ヤブグシシン、ウクライナ中部ビンニツァ出身の21歳。
7歳から相撲を始め、2019年の世界ジュニア相撲選手権大会では3位。2021年、ポーランドで開かれた18歳以下対象の欧州相撲選手権で、100キロ級、無差別級、団体戦の3冠を達成したという。相撲と並行して8歳から17歳の時はレスリングも経験し、17歳の時にはウクライナの国内大会で110kg級で優勝。
2022年2月にロシアのウクライナ侵略が始まり、戦火を逃れて相撲を続けられる環境を求めて、2022年4月に来日。
2019年の世界ジュニア選手権で知り合った関西大学相撲部コーチの山中新大氏を頼っての来日だった。山中氏は、関西大学相撲部で受け入れ、自宅に住まわせて面倒を見る。
2022年12月、安治川部屋に入門、2023年秋場所初土俵。2024年九州場所新十両、25年春場所で果たした所要9場所での新入幕は最速タイ。新小結、関脇昇進は共に1位のスピード記録。大関昇進が確実になっているが、所要14場所は昭和以降デビューの力士では照国(後の横綱)に並び2番目のスピード記録。
21歳8カ月での優勝は歴代4位の若さ(年6場所制となった1958年以降に初土俵の力士)で、上位には貴乃花や白鵬ら、後の大横綱が並ぶ。
しこ名の安青錦新大は、「安」「錦」は安治川部屋の師匠、安美錦からもらい、「青」は祖国ウクライナの国旗の色、「新大」は、山中新大からとったという。 182センチ、140キロ、得意は右四つ、寄り。八角理事長は安青錦が強みとする「低さ」について「天性のもの」と評価。
初優勝後のインタビューで、安青錦は「一つ上の番付(横綱)があるので、そこをめざしていきたい」と語り、早くも目標を横綱昇進に置いている。
カフェ「クラヤヌィ」を訪問した安青錦(右から2人目、10月、東京都武蔵野市)=日本ウクライナ友好協会KRAIANY提供・共同
■「ウクライナ人の強さを示した」 喜びの声に沸く
「初めてチャンピオンが誕生した歴史的な日だ」。大相撲九州場所で初優勝した安青錦=本名ダニーロ・ヤブグシシン=の出身国ウクライナでは23日、知人や関係者が「ウクライナ人の強さを示した」と吉報に歓喜した。
安青錦の地元、西部ビンニツァの相撲チームで指導したワジャ・ダイアウリさん(64)は「ダニーロなら、必ず優勝できると思っていた。むしろ遅いくらいだ」と声を詰まらせた。「日本で『突っ張り』を学んだことが、急成長につながった」と語った。
10年以上前にビンニツァで共に稽古に励んだオレクサンドル・ベレスユクさんは「当時は体が大きくなく、もの静かだった。驚いたのは彼がそれでもすぐに勝ち始めたことだ」と振り返る。「彼はサムライだ。多くを語らず、敵を倒す」
ウクライナ相撲連盟のオレク・レバさん(58)は「戦時下にあるウクライナの子どもたちの希望になった。久しぶりの明るいニュースだ」と目を細めた。(共同通信)