習近平の北京冬季五輪 史上初の夏冬五輪大会を開催
2022北京冬季五輪の開催で、北京は、オリンピック史上初めて夏と冬両方の五輪を開催する都市となる。
習近平政権は、中国の威信をかけて冬季五輪の招致活動に破格の15億ドル(約1600億円)を投入、2008年夏季大会の開催経験や財政力を前面にアピールして、44票を集め、40票のアルマトイ(カザフスタン)を僅差で振り切って勝利した。
大会では15競技、109種目が行われ、北京市中心部で氷上競技の大部分を、市郊外の延慶と張家口で雪上競技が開催される。91の国と地域から約2900人の選手が参加する。
開閉会式は、2008年夏季大会で建設した「鳥の巣」を再び使用し、「水立方」の愛称を持つ国家水泳センターでカーリングを開催し、バレーボール会場を改築して、フィギュアスケート会場「氷立方」にするなどなど既存の施設を活用する。
“コロナ禍“の中で開催された北京冬季五輪2020は、新型コロナウイルスの感染防止対策として、「クローズド・ループ」という厳しい隔離方式、「バブル方式」を行い、海外や国内の一般観客の入場は制限するという異例の大会となった。
さらに人権問題でも揺さぶられた。米バイデン政権は、新疆ウイグル自治区の人権問題に抗議して、政府代表団を送らないとする“外交的ボイコット”を行うことを表明。英、豪、カナダ、ベルギーなど11ヵ国が米国に同調した。しかし、“外交的ボイコットは行っても、選手団は参加し、2月4日に開かれた開会式には30を超える国の首脳も出席した
北京大会の最大の問題点は、雪不足。候補都市を事前に評価するIOC評価委員会は、降雪が少なくほぼ全てを人工雪に頼る計画に懸念を示していた。数千トンもの人工雪を作る機械に頼ることになると指摘されていた。競技会場となる張家口や延慶は気温は低いが、積雪少ない地域、暖冬に見舞われると円滑な大会開催は絶望的になる。
五輪の開催期間は2022年2月 4 日~20日の17日間。中国の春節(旧正月)の時期と重なる。観客や学生ボランティアを動員できるのがその理由という。

Source IOC
大会開催理念は“Green”+“Tecnology” 5G+4K/8K+AIを掲げた「科学技術オリンピック」
北京冬季五輪2022大会のスローガンは、“Together for a Shared Future”、そしtげ開催理念として、環境保護を重視する“green,
inclusive, open and clean”を目指す「グリーンオリンピック」、5G+4K/8K+AI technologyを導入する「科学技術オリンピック」を掲げる。
「グリーンオリンピック」の公約の証として、すべての会場は再生可能エネルギーで電力100%を供給し、風力発電と太陽光発電(PV)システムによって発電するとしている。
「科学技術オリンピック」では、すべての競技会場や北京と結ぶ高速鉄道で高速・大容量の移動通信、5Gネットワークを整備し、4K/8K放送を大規模に開始、AIロボットを導入するなど北京冬季五輪を先端技術のショーケースとする。
“コロナ禍”の北京冬季五輪2022 一般客へのチケット販売中止 「招待客」のみ 徹底した「バブル方式」で感染防止
2022年1月15日、北京市政府は、同市海淀区で、オミクロン株の市中感染1例を確認したと発表した。北京でのオミクロン株感染確認は初めて。北京冬季五輪開幕を2月4日に控え、習近平指導部の「ゼロコロナ」政策にもかかわらず、感染力の強いオミクロン株感染者の出現で危機感が一気に高まった。感染経路は不明とされ、北京でオミクロン株の市中感染がすでに広まっている可能性が大きい。さらに上海や広東でも感染者が確認されていった。
2022年1月17日、北京冬季五輪組織委員会は、予定していた中国国内の一般向けの販売を見送り、組織委員会が招待する組織された観客グループにのみ入場を許可する方針が明らかにした。海外からの観客の受け入れは2021年9月にすでに見送っている。
これで東京五輪に続き、国内外の一般客へのチケット販売はすべて取りやめることになる。
しかし、「無観客」ではなく、大会関係者や企業、団体など組織された観客グループの「招待客」はスタジアムでの観戦が可能になる。「招待客」の人数は明らかにされていないが、各競技会場の観客席はガラガラの状態ではないと想定されている
。開会式には地元メディアは約5万人が参加したと伝えている。事実上、「有観客」の開催であった。
2021年10月15日、国際オリンピック委員会(IOC)は北京冬季五輪2022の主な新型コロナウイルス感染予防策の基本方針を決めて、東京五輪2020に引き続いて、「プレイブック」(Bejing2022
Play Book)を公表した。ワクチン接種に関する方針や開催期間中のクローズド・ループ管理(バブル方式)、観客受け入れなどに関する方針が含まれている。
北京冬季五輪2022では、徹底した「バブル方式」で、新型コロナの感染拡大を押さえるという“背水の陣”で臨むことを強いられた。再び、“コロナ禍”の異例の大会となった。

北京市内のPCR検査 出典 多維新聞
⇒北京冬季五輪2022 新型コロナ陽性者は437人 バブル方式は成功
北京五輪開催費、実際は発表の10倍以上、過去最高4兆円超か
北京冬季五輪2022の開催費用は、中国政府が発表した39億ドル(4485億円)の10倍以上にのぼり、3兆円超の過去最高額とされる東京五輪も上回る可能性が指摘されている。米ニュースサイトのインサイダー・ビジネスが2022年2月5日に報じた。
同社がニュースやプレスリリース、公式記録などから算出した総額は380億ドル超(4兆3700億円)。北京市とスキージャンプ競技などが催される河北省・張家口市を結ぶ「五輪専用」超高速鉄道の建設費だけでも92億ドル(1兆58億円)で、発表総額の2・5倍超になるが、これは開催費に計上されていない。他にも、選手村の一つの建設費は約32億ドル(3680億円)とみられ、この関連費用を計算しただけでも、発表総額の2倍になるという。また、空港、地下鉄と高速道路の拡張費計25億ドル(2875億円)や、さらには人件費や環境対策費なども全く含まれていない。
($=115円で計算)
米スミス大経済学のジンバリスト教授は「中国が発表した開催費用に何か意味はあるのか? ほとんどない。総コストの現実を全く反映していない」と批判した。、
史上最多の15競技 109種目を開催 新種目は7つ
北京2022オリンピック冬季競技大会では15競技109種目が13の競技会場で行われる:バイアスロン、ボブスレー(スケルトンを含む)、カーリング、アイスホッケー、リュージュ、スケート競技(フィギュアスケート、ショートトラック、スピードスケート)を含む)、スキー競技(アルペンスキー、クロスカントリースキー、フリースタイルスキー、ノルディックスキー・コンバインド、スキージャンプ、スノーボードを含む)。
新種目は女子モノボブ(1人乗りのボブスレー)、男女フリースタイルスキービッグエア、フリースタイルスキーエアリアル混合団体、スキージャンプ混合団体、スノーボードクロス混合団体、ショートトラック混合リレーの7種目。
北京2022は出場選手は91の国と地域から約2900人、の男女比率は、男子55%、女子45%となり、女子選手の参加比率は平昌2018の41%から45%以上に増加し史上最高となった。
開会式・閉会式やスケート競技は北京で、アルペンスキーとそり競技は延慶の小海坨山、その他の雪上競技は河北省の張家口で開催する。
13の競技会場 選手村、IMC/IBCなど39の五輪施設
競技会場は、北京市内と延慶(Yanqing)、張家口(Zhangjiakou)の3つのクラスターを設けて13会場を整備した。 北京クラスターでは、面積8万平方メートル、1万2000人収容の巨大なスピードスケートセンター、「氷絲帯」(氷のリボン)を新設し、五輪大会のシンボルとした。その他は2008北京夏季五輪大会の競技場を再活用して、「鳥の巣」では再び開閉会式の舞台となり、バレーボールが行われた「首都体育館」はフィギュアスケートとショートトラック、水泳場の「水立方」はカーリングの会場、バスケットボール会場だった五棵松体育館はアイスホッケーの会場に改築し。開催経費を抑える姿勢も示した。北京クラスターの7つの競技場の内、5競技場はレガシー施設の再利用である。
世界の放送機関やデジタル・プラットフォームのなどの放送オペレーション拠点、国際放送センター(IBC:Internationa Broadcasting Center)は、北京市内の国家会議センターの巨大な新館(北館)(床面積約9万8000平方メートル)を使用して整備された。整備されたIBCの面積は約3万平方メートル、2492の放送機関等のライツホルダー(RHKs)参加、中国国内が493、海外が1999である。約IBCを設営・運営するのはOBS(オリンピック放送機構)で、6000時間超の競技やセレモニーなどの国際映像が配信された。
万里の長城の近くのスキーリゾート地、延慶クラスターには、国家アルペンスキーセンターと国家スライディングセンターや選手村、山岳IMC/IBCが建設された。延慶かさらに奥に入る張家口クラスターでは、ジャンプ、クロスカントリー、複合、バイアスロン、フリースタイルスキー、スノーボードの雪上6競技が行われ、選手村、山岳IMC/IBCも建設された。

出典 Reuters

⇒北京冬季五輪 国際放送センター(IBC) 国际广播中心与主媒体中心
- 北京クラスター
北京市内では、開会式・閉会式や、スピード・スケート、ショート・トラック、フィギア・スケート、アイスホッケー、カーリングなどの氷上競技や、フリースタイルスキー・ビッグエア スノーボード・ビッグエアの5競技が開催される。
北京夏季五輪2028で建設した国家体育場(鳥の巣)で開会式・閉会式が行われる。
北京市では、8つの競技施設新設・改修した。
新設した競技会場は、国家速滑館(スピード・スケート)と製鉄工場の跡地に整備したビッグエア首鋼(フリースタイルスキー・ビッグエア スノーボード・ビッグエア)、既設の競技場を改修して使用するは国家水泳センター(カーリング)、国家体育館(アイスホッケー)、首都体育館(フィギアスケート、ショートトラック)五棵松体育館(アイスホッケー)である

国家体育場(鳥の巣) 出典 Bejing2022
国家体育場(鳥の巣) 既設 開会式・閉会式
国家体育場(鳥の巣)は、北京夏季五輪2008に向けて建設された開閉式屋根の巨大スタジアム。観客収容数は9万1000人、常設の座席8万席に加えて、仮設の座席1万1000席を設置することができる。
北京夏季五輪2008では、開会式・閉会式、サッカー男子の決勝戦が開催された。北京冬季五輪では開会式・閉会式が開かれる。
網の目のように絡み合う鉄鋼が織りなす外観が特徴的で、古代中国の陶磁器に見られる“ひび”、「貫入」を模した模様とされている。
約4万2千トンの鉄鋼で建設されたこのスタジアムの総工費は5億20万ドルとされている。
あまりにも巨大なスタジアムなので、競技会やイベントの開催者から敬遠され、大会終了後は使用されることは少く閑古鳥が鳴いていいた。維持管理費用がかさんで赤字となり、「負の遺産」の象徴とされたが、北京冬季五輪で再び使用されることで、関係者は胸を撫でおろしている。

「氷絲帯」 スピードスケートセンター Source Bejing20220
国家速滑館 新設 スピードスケート
「氷絲帯(氷のリボン)」の愛称で知られる国家スピードスケート・センターは、冬季五輪会場としては、世界で初めて二酸化炭素遷臨界直接冷却技術を使用して製氷する。氷面の広さは1万2千平方メートルとアジア最大。観客収容数は1万2000人(常設席8,000席と仮設席4,000席)。
北京冬季五輪2022開催決定に伴って、2017年に北京夏季五輪2008のホッケーセンターとアーチェリー場を取り壊してその跡地に建設した。
設計企業は、国際コンペで米国カンザスシティにあるスポーツ施設やコンベンションセンターなどの設計を専門とする設計事務所POPULOUSが選ばれた。
競技場には各種のIoTセンサーが設置され、屋内の温度、湿度、照明などのデータをリアルタイムで監視する。リンクの氷の表面温度の差は0・5度以内に抑えられている。
大会終了後は、アイスホッケーやスピードスケート、フィギュアスケート、カーリングなど、各種ウインタースポーツの競技会場となる。

出典 Bejing2022

国家水泳センター 「氷立方」 出典 Bejing2022
国家水泳センター 既設 カーリング
国家水泳センターは、北京夏季五輪2008では競泳が行われ、愛称「ウォーターキューブ」(水立方)と呼ばれた。
北京冬季五輪2020では、「アイスキューブ」(氷立方)へと転換され、カーリングと車いすカーリングの試合が行われる。

ビッグエア首鋼 出典 Bejing2022
ビッグエア首鋼 新設 フリースタイルスキー・ビッグエア スノーボード・ビッグエア
「首鋼ビッグエア」は、首都鋼鉄グループの製鉄工場の跡地の再開発プロジェクトの中核として高さ60メートルのジャンプ台が建設された。ジャンプ台助走路、審判塔、観客スタンドの三つの部分で構成されており、助走路は長さが164メートル。幅は最も広いところで34メートル、最高地点は高さ60メートル。選手たちはジャンプ台を滑り降りた後、宙返りや回転などのパーフォーマンスを行う。

ビックエア首鋼 出典 sipaphoto
ジャンプ台の背後には、旧製鉄所の溶鉱炉や煙突、冷却塔がそびえ立つユニークな競技会場である。
首鋼集団は粗鋼生産が約1290万トン(2007年)で、中国国内では7位で、世界23位の大手製鉄グループである。1919年に北京の郊外に建設されたグループの首都鉄鋼製製鉄所工場は、長年、北京周辺の都市開発に貢献してきた。日本の八幡製鉄所を彷彿とさせる趣がある。しかし、北京の悪名高い大気汚染の源とされるようになり、北京夏季五輪2008を控えて大気汚染対策を迫られた北京市は、その一環として2016年に製鉄所を操業停止させて工場を移転させた。
約7平方キロメートルの跡地は再開発が行われ、「首鋼パーク」として整備された。産業遺跡から生まれ変わったこのパークは、先端技術総合サービスエリアやモダン・アートのギャラリーや文化センターが立ち並ぶテーマパークに生まれ変わった。
一画には2022年北京冬季五輪大会の「首鋼ビッグエア」が整備され、北京冬季オリンピック組織委員会のオフイスも設置された。
かつては鉄鉱石を保管していた円筒形の倉庫や空中輸送廊下や中継運送所などの工場の旧施設などすべての建物は首都鋼鉄グループの製鉄工場の社屋を再利用している。北京市は環境に優しい再開発モデル事業に位置付けている。



五棵松体育館 出典 Bejing2022
五棵松体育館 既設 アイスホッケー
アイスホッケー競技場となる五棵松体育館は、「フクジュソウ」の愛称で呼ばれ、外壁は、格子状になっており、無数の雪の結晶が並ぶようなデザインになっている。総建築面積は約3万8960平方メートル。地上2階、地下2階で、地下の2階はスケートリンクで観客収容数18,000人、アイスホッケーのメイン屋内会場として使用される。地上2階にはスポーツ・文化関連の施設、900人収容の劇場も設置されている。リンクは2面あり、どちらもスケートリンクとしても使用できる。
北京夏季五輪2008では、バスケットボールが開催され、以後、多目的アリーナとして使用されてきた。
競技場内には「多次元観戦体験・VR生中継技術」と呼ばれるプロジェクトが展開され、VRサービスが実施される。5G+8K技術を使用した60台のカメラで競技を撮影し、会場の観客は180度のフリーアングルの観戦と没入型生中継を体験できる。
20017年10月、ゼネラルモーターズのブランドキャデラックが命名権を取得、「キャデラック・アリーナ(中国語:凯迪拉克中心、英語:Cadillac
Arena)」と改名された。

首都体育館 出典 Bejing2022
首都体育館 既設 ショートトラック フィギュアスケート
首都体育館は、1968年に完成した歴史ある屋内アリーナ。総面積は約54,600平方メートル。
1971年に中国とアメリカとのピンポン外交の舞台となったほか、1990年アジア競技大会、2001年夏季ユニバーシアードなどのスポーツ大会、北京冬季五輪2008ではバレーボールが開催された。

首都体育館 出典 Bejing2022

国家体育館 出典 Bejing2022
国家体育館 既設 アイスホッケー
北京国家体育館(北京国家体育馆)は、中国、北京のオリンピック公園内にある屋内競技場である。2008年北京オリンピックでは体操の体操競技とトランポリン、ハンドボールの一部、2022年北京オリンピックではアイスホッケーが開催される。2007年11月に完成し、建設費は65億円元。
観客収容数は18,000名。

国家体育館 出典 Bejing2022
北京冬奥村(選手村)
北京冬季オリンピック選手村は、北京市朝陽区のオリンピックスポーツ文化ビジネスパークに位置し、2022年北京冬季オリンピック・パラリンピックの非競技会場としては最大級の規模を誇る。総建築面積は約33万平方メートルで、選手のための宿泊施設、トレーニングルームのほかに、カフェやファストフード店もあり、ケータリング、医療サービスなども提供する。
運営エリア、居住エリア、広場エリアの3つの機能エリアに分かれ、建物は13階から17階建てのマンション20棟で構成、地下は3階建ての一体型ガレージになっている。
大会期間中には、オリンピックで最大2338床、パラリンピックで最大1040床のベットを整備し、オリンピックでは、44の国と地域の選手や大会関係者、約1,700人超を受け入れる。
五輪終了後は、北京市人材公共賃貸住宅として活用され、首都機能戦略の条件を満たす人材に貸し出される計画である。

北京冬奥村(選手村) 出典 Bejing2022

北京冬奥村(選手村) 出典 新華網

北京冬奥村(選手村)室内 出典 新華網
- 延慶(Yanqing)クラスター
⇒北京冬季五輪2022 競技会場 最新情報 延慶(Yanqing)クラスター

延慶(Yanqing)クラスター Source Beijing20220

国家スライディングセンター 延慶(Yanqing)クラスター 出典 Beijing20220
- 張家口(Zhangjiakou)クラスター

ジャンプ台 張家口(Zhangjiakou)クラスター Source Beijing20220

アルペン競技場 張家口(Zhangjiakou)クラスター Source Beijing20220
- 北京五輪の最大のアキレス腱 人権問題 ボイコットの動きも

北京五輪エグジビションセンターを訪れた習近平主席 出典 Beijing2022
2月3日、開幕1年前を迎えて、世界ウイグル会議(WUC)や国際チベットネットワークなど世界各国の約180の人権団体などが中国における人権問題を理由に大会をボイコットするよう各国首脳に呼び掛けた。「五輪が悪用され、中国政府によるおぞましい人権侵害や弾圧がエスカレートする」としていると訴えた。
昨年10月、ドミニク・ラーブ英国外相が、中国による新疆ウイグル人への迫害の証拠が増えた場合、北京冬季五輪不参加の可能性を示唆した。
ラーブ外相の発言を受けて、米ニューヨークの国連で開かれた人権会議で、英国やドイツ、豪州、日本など39カ国が中国の人権問題を批判する共同声明を発表、アメリカの連邦議会では、共和党の7人の上院議員が中国でのオリンピックの開催に反対する決議案を提出した。
中国に対しては、新疆ウイグル自治区問題だけでなく香港での民主派弾圧などで国際社会から厳しい批判が浴びせられている。
周近平政権の冬季五輪開催で世界にプレゼンスを誇示するという戦略に人権問題という壁が立ちはだかっている。
⇒北京五輪の最大のアキレス権 人権問題 彭帥選手 “外交的ボイコット ”
中国外務省開会式に出席する各国首脳・高官 32人のリスト発表
1月28日、中国外務省は、2022年の北京冬季オリンピックに参加する各国首脳や高官のリスト、32人を発表した。
北京冬季五輪2022のリストでは、ロシアのプーチン大統領を始め、エジプトのシン大統領、カンボジアのシハモニ国王、シンガポールのハリマ大統領、カザフスタンのトカエフ大統領、ポーランドのドゥダ大統領、アルゼンチンのフェルナンデス大統領、エクアドルのラソ大統領、サウジアラビアのムハンマド皇太子、アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド皇太子など中東やアジア、ラテンアメリカ諸国が占める。
2008年北京夏季五輪の開会式には、当時の米国大統領ジョージW.ブッシュ、英国首相ゴードンブラウン、フランス大統領サルコジ、オーストラリア首相ケビンラッド、日本の首相福田康夫など欧米主要国の指導者が多数出席した。
しかし、14年後、これらの西側諸国首脳の全員が欠席する。
中国外務省は、「彼らが来るかどうかは誰も気にせず、北京の冬季オリンピックの成功に影響を与えることはないだろう」と述べた。