- フジテレビ第三者委員会
- 第三者委員会は、弁護士の委員が3人、委員長は 竹内 朗氏(弁護士・公認不正検査士、プロアクト法律事務所)、委員 は 五味 祐子氏(弁護士、国広総合法律事務所)と山口 利昭氏(弁護士・公認不正検査士、山口利昭法律事務所)、そして主任調査担当弁護士が5人、調査担当弁護士18人の計26で構成、調査期間は1月23日から67日間に渡った。
調査は、2016年4月1日まで遡って広範な事実関係を調べたという。この時に現行のフジテレビの情報システムが導入され、デジタルデータが保管されていた。調査対象者のパソコンやスマホなどのデータも参照したという。
またあまりにも古いデータは、事実関係の調査が困難で、現在フジテレビが抱えている問題との関連性が少ないと判断したという。
関係者のヒアリングは、フジテレビの役職者や退職者など計222人に対して294回行われ、中居正広氏には数時間に渡って実施、元アナウンサーの被害者女性(女性A)や編成局編成部長(B氏)のヒアリングも行った。
フジテレビ第三者委員会会見 2025年3月31日 出典 FUJIプライムニュース
- 第三者調査委員会が調査した6項目
- 第三者調査委員会は次の6項目について調査を実施した。
Ⅰ中居氏と元アナウンサー(女性A)のトラブルについてのフジテレビの関わり
Ⅱ中居氏と元アナウンサー(女性A)のトラブルと類似する事案の有無
Ⅲフジテレビがトラブルを認識してから現在までのフジテレビの対応
Ⅳフジテレビの内部統制、グループガバナンス、人権への取り組み
Ⅴ判明した問題に関する原因分析・再発防止に向けた提言
Ⅵその他、第三者委が必要と認めた事項
第三者委は、これまで女性の所属はプライバシーの保護を理由に伏せられていたが、本人の同意を得た上で女性がフジのアナウンサーだったことを明らかにした。
2023年6月2日、中居氏の自宅マンションに入ってから退室までの間に起きたこと(本事案)について、女性が中居氏によって「性暴力」による被害を受けたものと認定。「重大な人権侵害が発生した」とした。
中居正広氏 出典 X投稿画像
- 中居氏と元女性アナウンサーの接点
- この中居正広氏「性暴力」事案に先立つ中居氏と元アナウンサーの接点も明らかになった。
2021年12月18日、中居氏と編成局幹部(B)、タレントのX氏と外資系ホテルのスイート・ルームで食事会を開いた。フジテレビの編成局幹部(B)から元女性アナウンサーはLINEで誘われた。食事会には、中居氏、タレントX氏、編成局幹部(B)、元女性アナウンサーや他の女性孔アナウンサー3人、編成局幹部(B)の部下2人、女性スタッフの10人が参加した。
食事会開始4時間後、中居氏は、「あとはおれたちだけ残るからスタッフはみんな先に帰っていいよ」と、スタッフの退出を促した。編成局幹部(B)は中居氏とタレント氏、女性2人の「男女2対2」になる形を作りたいと受けており他の参加者と退席した。その後も飲み会は続いたが、タレントX氏と女性一人が席を外すと、中居氏は残った一人の女性に対し、ひざや肩甲骨に触れたり、顔を近づけるなどのセクハラを行ったとされる。女性社員は手をどけたり、体を離すなどしてやりすごしたとしている。
ちなみにスイート・ルームの部屋代、38万1365円は、編成局幹部(B)が立替え払い請求をして、フジテレビが支払っている。実態はタレントとの飲食費、明らかに不正請求である。
編成局幹部(B)の「置き去り」事案は、これだけではない。10年以上までになる有力な番組出演者との飲み会の席に、女性社員を「有力な出演者と会食をしているから来てほしい」と誘った。店の個室には、番組出演者、編成局幹部(B)、女性社員、男性3~4人いたが、女性社員がトイレに立って戻ると、個室には番組出演者しかいなかった、編成局幹部(B)が女性を「置き去り」にして退席し、出演者と女性だけの空間を作り上げたとしている。その後、2人は別の店の地下室の部屋に移動、番組出演者は突如、ズボンと下着を脱ぎ下半身を露出、危険を感じた女性社員は外へでたという。
飲み会などで女性の「置き去り」が常態化してことが窺えられる。
中居氏の性暴力との「類似案件」として確認したのは2件だけだが、中居氏と編成局幹部(B)は、こうした行為を常態化させていた可能性がある。
さらに悪質なのは、編成局幹部(B)は、2020年、後輩の女性社員を食事に誘い、身体を触るなどのセクハラ行為を行ったとされている。
2023年には仕事の相談をしてきた後輩の女性社員に身体に触ったり、キスをしたりして、ハラスメント行為を行ったとした。
いずれも編成局幹部(B)は概ね認めている。
業務上のアドバイスと見せかけて立場が弱い後輩女性社員に性的な接触をするのは悪質性が高いだろう。
一方、フジテレビの経営幹部は、女性社員を危険から守ることよりも有力な番組出演者への配慮を優先させる思考パターンに陥っていた。こうした行為が行われていることを知っていながら、経営幹部は黙認していた可能性も浮上し、腐敗した「企業風土」、「企業体質」そのものが問われることにつながってきた。
編成局幹部(B)個人の問題ではなく、フジテレビの組織全体の問題に波及するのは必至となった。
そして2023年5月30日、中居氏の自宅マンションで「BBQの会」が開催された。
その時のLINEのやり取りが残されていた。
中居氏:男同士じゃつまらね 女性いるかなね
幹部社員:アナウンサー調整しています
中居氏:自分が知っている、アナ、誰だろうね
幹部写真:●●●●(元女性アナウンサーのフルネーム)に声をかけてみようかと思います。
「BBQの会」には、中居氏と元女性アナウンサーの他に、男性タレント2人、幹部社員(B)、TBS社員2人、女性スタッフが参加、5時間ほどで終わる。
幹部社員(B)はマンションに向かう車中で元女性アナウンサーに「仕事にプラスになる」と言ったという。
幹部写真から「仕事にプラスになる」という発言があったことは極めて重要で、中居氏との会合は、「プライベートな関係」の会合ではなく、「業務の延長線上」にある事案であることの「証拠」となる。
「BBQの会」後に、中居氏、幹部社員(B)、元女性アナウンサーの3人は、鮨店に行き、中居氏は元女性アナウンサーと携帯電話番号を交換した。
ちなみに鮨店の飲食代金、1万5235円は、幹部社員(B)が「接待飲食代」としてフジテレビに経費請求をしている。
その2日後の6月2日、中居氏から元女性アナウンサーに会食の誘いのショートメール(SNS)が届いた。
中居氏:今晩、ご飯どうですか?
女性:空いていると返信
中居氏;はい。メンバーの声かけています。また連絡します。
*実際には誰にも声をかけていなかった(第三者委のヒアリング)
中居氏:雨のせいか、メンバーは歯切れ悪くいないです。飲みたいですけど、さすがに2人だけだとね。そうしましょう。
隠れ家的な、お店 自信はありませんが探してみますね
*実際には店に電話をかけていなかった(第三者委のヒアリング)
中居氏:(仕事)終わりました。メンバー見つからずです。どうしようかね。2人だけじゃ気になるよね。せっかくだから飲みたいけど。
中居氏:●●(地名)で飲みますか! この間の。なら、安心かもです。どうでしょ
*「BBQの会」を開いた中井氏の自宅マンションでの食事を提案
調査報告書には、2人だけの食事会に誘われた元アナウンサーの心境も記されている。
「仕事上付き合いのある芸能界の大御所からそう言われたら今夜暇だと言ってしまった私は行かざるを得ない。B氏や他のディレクターはいつも中居氏にペコペコしている姿を見ていたから逆らえないと思っていた。
断ったらそのことがB氏に伝わって番組に呼ばれなくなるのでないかそんな思いがあって行きたくはないけど行ったという気持ち」
そして中居氏の自宅マンションで2人だけの食事会となりトラブルが発生した。
元女性アナウンサーに対する性暴力は、偶発的なものではなく、中居氏によって仕組まれたものだったことが明らかになった。
調査報告署では、6月2日の会食については、幹部社員(B)の関与は認められなかったとしている。
フジテレビは、週刊文春が2024年12月に「フジテレビ社員が関与」と報じたのに対して、直ちに幹部社員(B)の関与を全面否定している。
しかし、調査報告書で一連の経緯が明らかにされ、幹部社員(B)が中居氏性暴力発生の引き金となる「状況」をつくったことは間違いない。
しかし最も肝心なのは中居氏と女性の間で何があったのかだろう。
中居氏と元女性アナウンサーとの間ではすでに示談が成立(1月7日)して両者に「守秘義務」が課せられている。第三者委員会は、「守秘義務」の解除を要請したが、元アナウンサー側は応じたのに対し、中井氏は拒否、一切闇に包まれたままである。
中居氏は、タレント活動からの引退を表明した際に、「調査には協力する」と宣言していたのにも拘わらず、「守秘義務」をたてに口を閉ざしているのは無責任きわまりない姿勢で唖然である。
- 第三者委 ヒアリングやメールのやりとりの記録を詳細に掘り起こす
- 第三者委員会は、「守秘義務」が発生する前に、元アナウンサーが語っていた被害内容などをフジテレビ関係者へのヒアリングやメールの記録などから調べた。当事者の証言が得られない場合には、間接事実の積み上げで何があったのかを立証可能なのである。
その結果、中居氏と元女性アナウンサーの二人の間のプライベートな関係ということではなくフジテレビの「業務の延長線上」にあったと判断、中居氏と女性の関係は業務上の人間関係であったことで、個人的な交際関係ではなかった。
著名なタレントと入社数年目のアナウンサーということで、そこには「権力格差」が存在していた。
第三者委員会が「業務の延長線上」と認定したことがこの調査報告書全体に関わるポイントである。
その根拠として、フジテレビでは、出演者タレントなどとの会合は、業務時間内外、場所、会合の厳密な参加者などを問わず、番組制作に必要なものとして、広く業務として認める実態が存在していたことを重視した。
取引先との会合の実態を調査した結果、フジテレビ社内では、取引先の歓心を得るために「年齢・性別・容姿」に基づいて会合の出席を要請することが蔓延していたとし、とりわけ女性を同席させるなど、一部に取引先との間の「不適切と考えられる会合の実態が垣間見える」とした。
トラブル発生の2日前には、幹部者社員(B)や中居氏が参加した「BBQの会」に元女性アナウンサーは「業務」として出席していた、
中居氏は著名な大物タレントで有力な取引先、元女性アナウンサーは入社数年目、圧倒的な権力格差がある関係性だった。
- 中居氏に忖度したフジテレビ経営陣 中居氏出演を継続
- そして、第三者委員会は「本事案はフジテレビ業務の延長線上における性暴力」だったとし、フジテレビの責任を指弾した。
これに対するフジテレビの対応は、2023年8月にこの事案が港浩一社長、大多亮専務(いずれも当時)等に報告された。港浩一社長、大多亮専務に編成局長(当時)を加えた3人で、元女性アナウンサーや中居氏の主演継続に関する対応が協議され、「女性(A)が同意して中井氏のマンションに行ったこと」、「中井氏が異なる認識を持っている」などを重視して、「プライベートな男女のトラブル」と「即断」したという。そして「女性(A)の生命を最優先する。笑顔で番組に復帰するまでは何もしない」、「中居氏に事実確認すれば中居氏が反論し女性(A)に伝わり危険が生じる」と判断したという。
取り返しのつかない判断ミスだった。
これに対し、第三者委員会は、「当初から『性暴力を受けた』と述べていた」ことや「女性(A)が深刻な症状で入院 自死の危険性を把握」していたことなどから、「重大な人権侵害が起きたことが認識できた」とした。
そして、「3人は女性(A)の自死への危険を恐れるあまり、「責任をとれない」との思考停止に陥った」とし、「現状を変更しないことを決定し責任を回避しようとした」と分析した。結果、中居氏の番組出演の継続の意思決定がなされた。
第三者員会の結論は、「リスク認識・評価を誤り、会社の危機管理としての対処をしなかった」と指摘、「会社として体をなしていない」と断じた。
経営判断のプロセスが極めて問題で、事案への対応方針などの意思決定は編成ライントップの港浩一社長、大多専務取締役、編成局長の3人のみ行われ、他の幹部や被害者と同じ女性の関与は一切なく、秘密裏にされた。そして、元女性アナウンサーに寄り添わず、中居氏の出演を継続させることによって戻りたい職場を奪い被害をさらに拡大させた、元女性アナウンサーは、心的外傷後ストレス障害(PTSDで体調を崩し入院した。そのケアは、アナウンス室と産業医に任せきりにした。
最も問題なのは、事案発生を知っていたにも拘わらず、中居正広氏の番組出演を継続させたことに尽きる。
調査報告書では、元女性アナウンサーには寄り添わず、中居氏の利益のためと見られる行動をとったことは「二次的加害行為」にあたるとして断罪した。
元女性アナウンサーについては番組降板を決めた一方で、中居氏の出演は継続させたのである。
- 幹部社員は見舞金100円を入院中の元女性アナウンサーに持参 中居氏に弁護士を紹介
- 2024年9月9日のショートメールのやりとりが残されている。
幹部社員(B):8月31日に元女性アナウンサーが退社したことを伝える
中居氏:了解 ありがとう。ひと段落着いた感じかな。いろいろ助かったよ
幹部社員(B):例の問題に関してはひと段落かなと思います。引き続き何かお役に立てることがあれば動きます。
2023年7月13日のショートメールから幹部社員(B)の責任が問われるだろう。
中居氏:また連絡があり、摂食障害と鬱で入院 やりたい仕事もできず 給料も減りお金も無くあの日を悔やむばかりと見たら削除して どうしようか
幹部社員(B):なかなかですね。私から無邪気なLINEしてみましょうか??
*中居氏と幹部社員(B)はさまざまタイミングで頻繁に連絡をとる関係だった。
そして見舞金の運搬にも幹部社員(B)は関わる。
2023年7月28日、中居氏は幹部社員(B)に見舞金名目で現金100万円を入院中の元女性アナウンサーに渡す。しかし元女性アナウンサーは受け取らなかったという。
調査報告書は、「女性(A)に対する口封じとも評価しうる」とした
2023年11月10日には、中居氏に弁護士を紹介している。
中居氏:訴え書が来ました。誰か弁護士を知らないか 紹介して欲しい
幹部社員:フジテレビに出演している弁護士を紹介する
調査報告書は、「中井氏の利益のための行動」として、「女性(A)に対する二次加害行為と評価しうる」と断罪した。
『BSフジLIVE プライムニュース』キャスター(解説委員) 反町理氏 出典 BSフジ
- ハラスメント被害も蔓延 反町キャスターがハラスメント行為
- 第三者委員会は、BSフジの報道番組、『BSフジLIVE プライムニュース』のキャスターで3月27日にフジテレビの取締役を退任した反町理氏(現解説員 元解説委員長)など幹部によるハラスメントの事案も認定した。
反町理氏は、2006年~2007年に部下の女性社員2人にハラスメント行為を行っていた。
2006年頃に、女性社員は反町氏からに食事の誘いが何度かあり、一対一で食事に行ったところ、休日にドライブに誘われ、三崎でマグロを食べたり、横浜でホラー映画を見たり、バーに連れ回されたりして、1日拘束されたことがあった。
その後、この女性社員が反町氏からの食事などの誘いを断るようになったところ、反町氏が女性に業務上必要となるメモを共有せず、原稿が遅いなどと不当な叱責を部内の一斉メールで送信したり、電話で怒鳴るなどをしたりした。
また、2007年から2008年ごろ、別の女性社員を一対一での食事に誘い、あるときからは休日に「今何しているのか写メを送れ」という趣旨のメールをして、食事に誘うようになったため、女性社員が断わったところ、この女性に対しても原稿が遅いなどと不当な叱責を部内一斉メールで送信したり、電話で叱責したりした。
反町氏は食事に行ったことなどは認めているものの、叱責した事実については否認しているが、第三者委員会では、反町氏の一連の行為は、セクハラやパワハラに該当しうると指摘した。
2018年4月、週刊文春は反町氏のハラスメント行為を報じため、フジテレビは被害女性に一人に事実確認のための面談を実施。女性は反町氏のハラスメント行為はなかったとにしないでほしいと要望した。
しかし、面談を行った岸本一郎専務取締役(当時)は、女性の要望の話を遮って、「テーブルを小刻みにたたいて圧迫しながら話すなど女性の要望を聞き入れる姿勢が見られなかったという。
その3日後、フジテレビは定例記者会見で、「広報としては記事について事実無根であるという見解を出している。それ以上でも以下でもない」と述べた。事実韓関係を完全否定する発言だった。
その後、反町氏は、2020年には執行役員、2021年には取締役に就任(3月に退任)、一貫して昇進を続けた。
現在はBSフジの報道番組のキャスターを務めている。(今は、この問題で出演を止めている)
第三者員会には、多数のフジテレビ社員から、「セクハラやパワハラをフジテレビに相談しても無駄と思わせる結果となった」という意見が寄せられている。
第三者委員会は「女性社員の心情を無視して対外的に事実関係を否定する声明を出すことによってハラスメント行為自体を隠ぺいすることで解決を図ろうとする組織的な体質の現れであるといえる」とした。
ハラスメント被害は会社的に蔓延していったが、その原因はハラスメントへの適切な対処がされず結果としてさらに被害が生じる「負の連鎖」繰り返されてきたと指摘した。
また、同じく今月27日にフジテレビの常務取締役を退任した石原正人氏について取締役就任前の秘書室長時代に関連会社の女性社員に対し、取引先との会合の帰りの車の後部座席で手を握ったり、腰に手を回すなどの行為をしていたことが認められたとしている。
石原氏は身に覚えがないとしているが、第三者委員会は、女性の供述は具体的で、虚偽の説明をする動機が認められないなどとしてセクハラ行為だと認定した。
報告書では「自身より立場が弱い女性社員に対して性的に接触する行為で悪質性が高いものだ」としている。
フジテレビは会社として問題が起きた後も十分な調査をせず、「ハラスメントに寛容な企業体質」があると表現した。その結果、フジテレビ社内にセクハラを中心とするハラスメントが蔓延した。
フジテレビの“ドン” 日枝久氏 出典 Wikipedia
- 日枝氏に対する調査結果
- 3月27日、第三者員会の調査報告書の公表の前に、長年にわたってフジ・メディア・グループの経営を率いた日枝久氏はフジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングスの取締役相談役を退任した。
85の法人や美術館で構成するフジサンケイグループの代表も、日枝氏が辞任するという申し出をして代表を退いた。
日枝氏は、今年87歳、1961年にフジテレビに入社、1980年に42歳の若さで編成局長に就任、「楽しくなければテレビじゃない」をキャッチフレーズに掲げてフジテレビの「黄金時代」を牽引、1988年にフジテレビの社長に就任、2011年に会長に就任、40年近く、フジ・メディア・グループの“ドン”として君臨してきた。フジテレビは中居氏性暴行事案に対する対応のまずさで批判を浴び、大半のスポンサー企業が撤退して経営の基盤が揺り動かされている。この中で経営刷新が急務になっているが、その焦点の一つに「日枝体制」からの脱却が挙げられていた
第三者員会は、日枝氏に対してのヒアリング調査も行った。
日枝氏は、フジテレビとフジ・メディア・ホールディングの会長と社長のトップ人事は決めていたとしている。
一方、それ以下の人事は会長と社長が決めていたが、日枝氏にお伺いをたてていた。
第三者員会が実施したフジテレビ社員へのアンケートでは、「日枝氏がフジテレビグループの人事権を掌握していると感じるか」という問いに、82%が「感じる」と答えている
日枝氏は、自分はあくまで相談役として相談に乗っていたとしたが、会長と社長人事については自身が決めていたことは否定しなかった。
第三者委員会は、今回の事案は、日枝氏のみならず取締役会メンバー全員が経営責任を負う。日枝氏の影響力を維持すればフジテレビのガバナンスが立ち直るわけではないとした。
- 調査報告書 踏み込んだ具体性がある内容で高い評価
- 今回公表された報告書は、膨大なメールやパソコンの記録や詳細聞き取り調査に基づいて、事実認定が詳細にされ、かなり踏み込んだ具体性がある内容となっている。一人一人の責任の所在や人間関係を細かく分析した報告書からは、総力を挙げてと取り組んだ第三者調査委員会の姿勢が窺われる。
とりわけ、フジテレビの企業の責任を厳しく指摘した点は評価できるだろう。
フジテレビは、この事案を「個人的なトラブル」として、女性のプライバシー保護や女性側の意向を理由に、事実関係をほとんど調査せず放置し続けた。
しかし、今回の調査報告書ではこの事案は「業務の延長線上」と断定した。
フジテレビのこれまでの説明がすべて否定された重みは極めて大きい。
フジテレビ社内全体の人権意識やコンプライヤンス遵守の薄弱さは、「企業風土」や「企業体質」に根ざしているのは間違いない。フジテレビ再生は果たして可能なのだろうか、深い疑念が残る。
- フジテレビ・グループ 経営陣刷新
- 3月27日、第三者委員会の調査報告書の公表に先立って、フジテレビと親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)は経営陣を大幅に刷新し、両社の取締役相談役を務める日枝久氏が退任すると発表した。取締役を40年以上務め、社内に強い影響力を持つ日枝氏を含めて体制を見直し、早期の信頼回復を目指すとしている。
フジHDは、金光社長が代表権のない会長に退き、専務を務める清水賢治フジ社長が6月に兼務する人事も公表し、取締役は、フジHDが10人、フジは16人が退任し、新たに延べ12人が就任。フジHDはこれまでの15人から11人に、フジは20人から10人に減った。
フジHDの取締役には女性を全体の3割以上起用。50代以下の登用も進め、平均年齢の若返りも図った。
しかし、経営陣を刷新しても、「企業風土」や「企業体質」を抜本的に変革するのはそう簡単にできるとは思えない。
第三者委員会の調査報告書の公表を受けて、村上総務相は、「民放事業の存立基盤に影響を与えかねない」として「速やかに必要な対応を検討する」と述べた。
- 元女性アナウンサー 代理人を通じてコメント発表
- 「昨年12月に本事案が週刊誌等で報道されてから、ネット上などで事実でないことを言われたりひどい誹謗中傷をされたりすることが続いていたので、昨日第三者委員会の調査報告書が公表されてその見解が示され、ほっとしたというのが正直な気持ちです。
非常に短い期間で、また、守秘義務のために当事者からの情報収集が制約される中で、本事案の経緯を含む事実関係の把握や原因分析を行おうと尽力された第三者委員会の皆さまには敬意を表します。
他方で、本事案後の中居氏と編成部長であったB氏とのやりとりやフジテレビの当時の港社長らの対応など、この調査報告書で初めて知った事実も多く、改めてやり切れない気持ちにもなっています。
私が受けた被害は一生消えることはなく失ったものが戻ってくることはありません。このようなことがメディア・エンターテインメント業界だけでなく、社会全体から無くなることを心から望みます。」
- 元女性アナウンサーは示談していても「刑事告訴」できる
- 一般的に示談書には、その内容を第三者に口外することを禁止するいわゆる「口外禁止条項」が盛り込まれることが多い
ただし、このような事件の場合、示談書の内容としては、加害者が事実関係を認めて一定の解決金を支払う代わりに、被害者はそれ以上の損害賠償請求を放棄することに加えて、刑事処罰を求めない「宥恕文言」(ゆうじょぶんげん:示談書などに記載される「犯罪等の行為を許す」という意味の文言)を入れた条項を設けることが多い。
今回のケースでも、示談書に「刑事告訴しない」などの宥恕文言が盛り込まれていた可能性もある。
しかし、この場合であっても、女性は刑事告訴することが可能である。
示談書は、被害者と加害者との二当事者間における民事上の効力が認められるにすぎない。これに対して、刑事告訴権は、刑事訴訟法上、被害者に認められた権利であって、その法律関係は国家と被害者との間にある公法上のものだ。
刑事訴訟法上、告訴の取消しに関する規定があるにもかかわらず、告訴権の放棄について定めがないので、告訴権の放棄は認められないとされている(最高裁昭和37年6月26日決定、名古屋高裁昭和28年10月7日判決)。
したがって、示談書に「宥恕文言」が盛り込まれていた場合であっても、そもそも告訴権を放棄することは認められないことから、被害者は刑事告訴をすることが可能だ。
中居さん側から「示談書の宥恕文言に違反する」と主張されるリスクはありますが、それはあくまでも女性と中居さんの民事上の問題であり、それゆえに刑事告訴できなくなるわけではない。
結論として、女性は今からでも刑事告訴することができるということになる。(刑事訴訟法230条)
仮に刑事告訴が行われて、起訴されて有罪判決となった場合であっても、示談が成立している場合は、情状として斟酌されるので執行猶予となる可能性もある。(出典 弁護士ドットコム)
- フジCM再開、なお見通せず 再建の道筋は遠い
- 一連の問題を受け、約310社が1月末までにCM放映を取りやめた。再開については第三者委の調査報告書をみて判断するとの声が多かった。
フジテレビは、第三者委員会の調査報告書を受けて、再発防止策を講じるなどして刷新フジテレビをアピールして、収入源のCMの再開につなげたい考えだが、スポンサー企業からは厳しい声もあがっており、再開までには時間がかかりそうだ。
日本生命保険は、現時点でCMは再開しない方針を明らかにした。広報担当者は「再発防止策が適切に実行されるかどうかを見極め、判断する」と話した。また別の生命保険会社の関係者は調査報告書について「(フジに)かなり厳しい書き方になっていた」とし、CMの再開は「現時点では考えていない」とした。
アサヒグループホールディングスや楽天グループも「現在のところ、(CMの)再開の予定はない」とした。
フジの親会社フジ・メディア・ホールディングスは1月末、CMの減少を受けて2025年3月期の業績予想を大幅に下方修正し、純利益の見通しを192億円減の98億円とした。2月の放送収入は前年同月比で9割減ったという。CM停止が長引けば、フジテレビは企業としての存立も危くなる。
崖っぷちに立たされたフジテレビ、再生の手がかりを果たして見つけることはできるのだろうか。