
出典 WBC
- 日本でのWBC配信サービス、全47試合をNetflixが独占 地上波放送はどうなる
- 2026年3月に開かれる野球の国・地域別対抗戦ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)について、動画配信大手Netflix(ネットフリックス)は、大会側と日本国内での独占配信契約を結んだと発表した。国内のテレビ局はWBCの放映権を得られず、地上波の放送ができない見通しとなった。Netflixによると、全47試合をライブとオンデマンドで配信する。担当者は「現状では地上波のテレビ放送はないと認識している」と述べている。Netflixが日本国内でスポーツイベントのライブ配信を行うのは初めて。ちなみに米国内の放送権はFOXスポーツ(CATV、衛星 有料放送)が全試合を獲得している。
日本が優勝した2023年の第五回大会は、テレビ朝日系とTBS系が地上波で放送、Amazon「プライムビデオ」のネット配信で中継された。ビデオリサーチの調べによると、日本戦の世帯視聴率は関東地区で全試合40%を超えていた。コロナ禍を経て6年ぶりの開催となった2023年の第5回大会は、日本ではテレビの地上波と。テレビ朝日の地上波では日本と米国の決勝の平均世帯視聴率が42.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、平日午前にも関わらず異例の高視聴率を記録していた。
発表では「本契約により、日本の視聴者の皆さまは、2026年に開催されるワールドベースボールクラシックの全47試合を、Netflixのライブおよびオンデマンドでご覧いただけます」とした。また、今後については「番組スケジュール、独自コンテンツの詳細など、さらなる情報を随時発表していきます」との方針を示した。
TBSは取材に対し「国民的関心の高いスポーツイベントを無料の地上波放送で中継することの意義や視聴者の皆様のご期待は非常に大きいと考えており、現在事実関係の詳細を確認中」。テレ朝は「今大会は放送権の獲得に至りませんでした」と事実関係のみコメントした。今後は、NetflixがNHK・民放にサブライセンスするかが焦点になる。2023年3月21日 「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(WBC)決勝で米国代表に3-2で勝利し、2年ぶり3度目の優勝 出典 WBC
- Netflix ネットフリックス
- ネットフリックスは動画配信サービス、ビデオストリーミングという言葉を世界に広めたこの業界の先駆け的存在。
世界の会員数は3億人を越え(2024年第4四半期)と堂々の世界1位。動画配信サービスの“本場”の米国では、国民の61%(約9000万人)が加入しているとされている。ちなみにAmazon Primeは42% Huluが26%。
現在190以上の国で利用でき、30を超える言語に対応している。
1997年、DVDの郵送レンタル業者として米国で創業。2007年、動画配信ビジネスに参入。
Netflixの全世界有料会員数は、2024年第4四半期(2024年10~12月期)に3億163万人に到達した。会員数の大幅な増加は、2022年11月に導入した広告付きプラン。Netflixによれば、新規会員のうち55%以上が広告付きプランを選んでおり、第3四半期に比べ、広告付きプランの会員は30%近く増加したという。有料会員数の増加に寄与しているのは広告付きプランであることは間違いない。
また、ヒット作品を相次いで生み出したコンテンツの優位性も契約者増に貢献している。韓国ドラマ「イカゲーム」(英語: Squid Game)や、ダークファンタジードラマシリーズの「ストレンジャーシングス」、韓国ドラマ「愛の不時着」などや、マイク・タイソンとボクシング対戦のライブ配信、NFLの試合配信などが貢献したと思われる。日本国内の会員数も2024年上期に1000万人を突破して、日本でもU-NEXTや動画配信サービスのトップに躍り出た。
世界の映画やドラマ、バラエティー、アニメなどが定額料金で見放題、Netfliオリジナル・コンテンツも数多く配信し、コンテンツ数において他社のサービスを圧倒している。
【新料金プラン】 *2025年1月21日値上げ
• $7.99/月(広告付きプラン) フルHD画質 ($6.99から値上げ)
• $19.99/月(スタンダード) フルHD画質 ($15.49から値上げ)
• $24.99/月(プレミアム) 4K・HDR画質 ($22.99から値上げ) - Netflix ネットフリックス
- 定額制動画配信市場(2024年)は推計5,262億円(4・1%増) U-NEXTがシェア拡大最大、6年連続首位のNetflixに迫る
- 定額制動画配信(SVOD:Subscription Video On Demand)サービスの利用率は、20年、21年、2023年の急成長に比べて、成長が鈍化した。
調査会社ジェムパートナーズ(GEM Partners)によると、2024年の定額制動画配信サービスの国内市場規模は推計5,262億円(4・1%増)に留まった。2020年は3,222億円(前年比34.7%増)を記録して以降、2021年に3,862億円(前年比19.9%増)、2022年に4,508億円(前年比16.7%増)、2023年に5,054億円(前年比12.1%増)と、コロナ禍におけるホームエンタテイメント需要の高まりを受けて毎年前年比10%以上の高い成長を続けてきたが、昨年は失速した
サービス別シェアのランキングは、「Netflix」が21.5%(前年比-0.4pt)と最大シェアを占めたが3年連続で前年比減だが、2019年以降TOPを維持して6年連続の首位。
2位は「U-NEXT」で、17.9%(前年比+2.7pt)を獲得、2022年に「Prime Video(Amazonプライム・ビデオ)」を抜いて2位に浮上。23年は7月以降「Paravi」とサービス統合をして契約増を成し遂げてシェアを拡大した。2024年は市場全体が停滞するなかで、最大のプラス成長を成し遂げた。
3位は、Prime Video(Amazon)で13.1%(+0.1%)、4位はDAZNで9.4%(-0.4%)、5位はDisney+で9.0%(前年と同じ)、6位はdアニメストア4.6%(-0.2%)、7位はFOD(FODプレミアム)で2.5%(+0.5)、8位はABEMA(プレミアム)で2.5%(+0.1%)、8位はTELASAで2.4%(+0.2%)だった。
今回調査対象となった13サービス中、前年からシェアを拡大したのは、「U-NEXT」、「FOD(FODプレミアム)」、「DMM TV」、IT大手サイバーエージェントの「ABEMAプレミアム」「Prime Video(Amazonプライム・ビデオ)」の5サービス。- NetflixがWBCの日本市場での独占に乗り出した背景には、「U-NEXT」の激しい追い上げがありそうだ。 Netflixは、日本市場でトップのシェアを維持しているが、動画配信市場のシェア争いが激しくなる中で、トップ地位を確保し続ける新たな戦略が求められていた。
- 米国では配信サービスに勢い テレビは劣勢に
- 日本では、地上波やBS衛星放送で「テレビ放送は無料」という常識が支配している。ところが、米国ではテレビを視聴するには、有料のケーブルテレビ(CATV)を契約する家庭が主流。しかし、ここ数年、Nefflix、Amazon Prime、Hulu、Disney+、HBO、Peacokなどが映画やドラマの配信サービスで急成長してCATVを凌ぐ勢いとなった。全米では「コードカット」と呼ばれるCATVの契約を止めて配信サービスに乗り換える動きが急増し、CATVは窮地に陥っている。配信プラットフォームは、映画やドラマだけでなく、スポーツ・ライブ中継サービスにも乗り出した。
米国の四大プロスポーツのひとつ、NFLフットボールは、毎週日曜日昼の試合は、FOX(放映権料22.5億ドル)とCBS(21億ドル)で訳ア毎週月曜夜の試合はCATVのスポーツ専門局「ESPN」が放送し、木曜夜はAmazon Primeが10億ドル(約1500億円)を支払って独占配信、地元の試合は無料放送で見られることもあるが、日曜の試合を地域制限なく見るにはYouTube(ユーチューブ)の有料サービスが必要となる。クリスマスの試合は米動画配信大手ネットフリックスが独占配信する。
米プロバスケットボールNBAは2024年、AmazonやDisney+など3社と11年間の契約を結んだ。総額は760億ドルとも言われ、約40年放映してきた米ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)傘下の放送局は折り合いがつかず、訴訟にまで発展。同社の株価は一時急落した。
世界最大のプロレス団体、米ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)の主力番組「Raw」の放送も1月、CATVからネットフリックスに移った。
既存メディアも、テレビ放送だけでなく動画配信プラットフォームを運営し、NBCはPeackok、ESPNはESPN+、FOXはTubl、CBSはParamount+で同時配信サービスを行っている。NFLに支払っている放送権料は動画配信サービスの権料も含まれている。
しかし動画配信サービスが巨額の資金を投入して放映権を勝ち取り、既存メディア企業はこれに対抗できずに脱落していく構図は当分続きそうだ。
米モフェットネイサンソンによると、CATVや衛星放送の加入者数のピークは2010年ごろの約1億世帯で、最近は5000万世帯を切るという。一方でネットフリックスはカナダも合わせた北米だけで約9000万の会員を獲得している。
- NetflixがWBCの日本市場での独占に乗り出した背景には、「U-NEXT」の激しい追い上げがありそうだ。 Netflixは、日本市場でトップのシェアを維持しているが、動画配信市場のシェア争いが激しくなる中で、トップ地位を確保し続ける新たな戦略が求められていた。
- 暴騰するスポーツの放映権料 米国の放映権料は10年で2倍
- 動画配信サービスがライブ・スポーツ中継サービスに乗り出した背景には、光ファーバーの高速通信の普及で、インターネットで高画質の画像を配信しても、遅延なくストリーミングが可能になったことが大きい。スポーツライブ中継をサービスする通信環境が整った。スポーツライブ中継は、「キラーコンテンツ」とされ、多くの視聴者を獲得できて、莫大な広告収入も見込めるため、各メディアは競って放送権の獲得に乗り出す。
動画配信サービスの参入で、競争が激化して放映権料は暴騰が続く。S&Pグローバルによると、米国のスポーツ放映権料は25年に292億5000万ドル(約4.3兆円)になる見通し。動画配信サービスの参入によって10年間で約2倍に増え、世界の半分以上を占める。30年までにはさらに25年比で約3割増となる370億ドルを超える見込みとされている。 - Jリーグの全試合の放送権を獲得したDAZN スカパー!は撤退
出典 DAZN
- 2016年12月、スカパー!は、2016年シーズンをもってJリーグの放送・配信から撤退すると発表した。
2017年以降のJリーグの全試合の有料放送・配信は、ライブストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)グループ」が放映権を獲得し、2028年までの12年間に渡る長期契約を結んだ 。
スカパー!は、2017年から10年間にわたってJリーグの全試合の放送を続け、「サッカー中継といえばスカパー!」と評判を得て、スカパー!の貴重なキラーコンテンツとなっていた。それだけに、スカパー!が受けた打撃は大きく、契約者数が大幅に減少し、一気に苦境に陥った。
現在、スカパー!で視聴可能なJリーグ関連の試合は、JリーグYBCルヴァンカップ準決勝までの全試合だけとなった。
DAZNが契約に成功したのは、圧倒的に巨額の放映権料だった DAZNはJリーグに10年間で約2100億円を提示し、スカパー!がこれまで支払っていたとされる年間約50億円を大幅に上回る金額を提示した。
一方、巨額の放映権料を手にしたJリーグは、収益が大幅に改善し、各クラブへの分配金も飛躍的に増加した。巨額の放映権料はJリーグ加盟チームの基盤強化や選手育成につながった。
英Perform Group(パフォームグループ)が展開するスポーツ専門のストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)」は、2016年8月、日本でのサービスをスタートした。メジャーリーグやF1をはじめ世界中の130を超える競技、約6000試合以上の中継を月額1750円(税抜き)で楽しめる画期的なサービスを掲げて日本の動画配信サービス事業に参入した。
日本での配信開始をしたDAZN(ダ・ゾーン)は、日本市場で新規契約数を増大させて成功を納めることが経営の至上命題でもあった。
そこで配信開始にあたり、「目玉コンテンツ」として白羽の矢を立てたのがJリーグだった。- 2023年3月30日、Jリーグと、DAZN Groupは、従来の放映権契約を一部見直し、2023年から2033年までの11年間で約2,395億円という新たな放映権契約の締結に合意した。
JリーグとDAZNは2017年から10年間で約2,100億円の放映権契約を締結し、2020年には新型コロナウイルス感染症の拡大によるJリーグの試合の一時中断を受け、2017年から2028年までの12年間で約2,239億円の放映権契約の見直しを行っていた。
- JリーグとDAZNとの契約ではテレビ中継をすべて締め出して独占したわけではない。NHKは、毎年40試合以上、総合テレビと衛星放送で生中継している。また地方のローカル放送でも生中継を行っている。2023年の契約更改にあたって、「テレビ地上波での試合中継をより多く行うことで、Jリーグとの無料での接点を増やしていき、試合以外での露出も圧倒的に増やしながらJリーグファンを増やしていくことで、DAZN加入者の増加を目指す」と強調した。
Jリーグは、DAZNとテレビとのバランスを維持していく方針である。
出典 Jリーグ
Jリーグが開幕したのは1993年、当初は、ジーコやリネカーら、世界的な超一流選手たちを迎え入れ、一大ブームを巻き起こした。民放各局は試合を連日地上波で生中継し、日本中がJリーグブームに沸いた。
しかし、熱狂は去るのもまた早い。視聴率が低迷したJリーグを、民放各局は見放し、地上波中継が消えた、Jリーグの観客数も激減し、「冬の時代」が到来した。
そうしたなか、Jリーグに救いの手を差し伸べたのがスカパー!だった。有料衛星放送のスカパー!にとって、Jリーグ中継は契約数拡大に魅力的なコンテンツだった。
スカパー!は2002年の日韓W杯中継で手応えを感じたのをきっかけに、年間で千試合近くも行われるJリーグの全試合を中継することを英断した。
スカパー!は、全社を挙げて、Jリーグ中継に全力投球し、試合中継だけでなくイベントを共催するなど、リーグ全体を盛り上げるための様々な企画を矢継ぎ早に打ち出した。
結果、2007年の放送の開始以後、Jリーグ中継パックの契約者数は右肩上がりに伸びはじめる。
スカパー!は、Jリーグが苦境にさらされた時代を、決死で支えて、再生を果たしただけに、今回の契約打ち切りには痛恨の思いであろう。- 2016年12月、スカパー!は、2016年シーズンをもってJリーグの放送・配信から撤退すると発表した。
- DAZN
- 2016年 サービス開始契約者数 100万人 サッカー、野球、モータースポーツ、バスケットボール、アメリカンフットボール、テニス、ゴルフ、格闘技、アーバンスポーツをはじめとする世界各国の様々なスポーツの全試合もしくは一部試合と関連番組を同時配信し、見逃し動画や予選、ダイジェスト番組も配信している。 2016年8月にオーストリア、ドイツ、スイスでサービスを始め、同年8月23日からは日本でもサービスを開始。翌2017年にカナダ、2018年からはアメリカとイタリアでサービスを開始。2020年12月1日から世界200以上の国と地域でサービスを開始した。
- 【コンテンツ】
・Jリーグ(J1・J2・J3全試合)
・イタリア セリエA・スペイン ラ・リーガ・ドイツ ブンデスリーガ・欧州サッカー連盟(UEFA)主催のサッカー大会・AFCアジアカップ AFCアジア予選(最終予選のみ)・日本女子サッカー WEリーグ・ UEFA女子チャンピオンズリーグ
・広島東洋カープ主催全試合及び中日ドラゴンズ主催の一部試合・阪神タイガース主催試合は権利の関係上、約5分遅れでのディレイ配信・読売ジャイアンツの主催試合。(読売グループとの包括契約)
・フォーミュラ1(F1)/フォーミュラ2(F2)/フォーミュラ3(F3)
・FIBAバスケットボール・ワールドカップ
・ボクシング 総合格闘技 プロレス キックボクシング
・チェス ダーツ ビリヤード eSport トライアスロン トレイルランニング
- 【契約料】
・DAZN Standard(月額4,200円)
・DAZN Global(月額980円) マイナースポーツ格安プラン
・DAZN Baseball(月額2300円)
・年間プラン 32000円(一括) 3200円(月払い) - 【コンテンツ】
- 相次ぐ大幅値上げ契約者数低迷
- DAZNが日本市場でサービスを開始した20216年の契約料金は1890円(税抜き1750円 月額)、2017年2月 値上げして1925円に。
そして2022年4月、大幅値上げに踏み切り、Standard Planは一挙に3000円に、さらに2023年1月、2年連続値上げしてStandard Planは3700円になった。それと同時に、“DAZN Gloval”という980円(月額)の格安プランを創設した。しかし、このプランではボクシングや総合格闘技などのマイナースポーツのみで、サッカー、野球、バスケットボールなどのメジャー・スポーツは見られない。
2024年2月に3年連続値上げし、Standard Planは4200円に高騰、年間プラン(一括)32,000円になった。 値上げに合わせてDAZN Baseball(月額2300円)やDAZN Freemiumプラン (無料プラン)を創設した。
Jリーグの放送権をスカパー!から奪って独占し、視聴者数は急増したが、さすがに、3年連続の大幅値上げで、契約者の解約が相次ぎ、DAZNの契約数は低迷している模様だ。
Qurtar2022 出典 Qutar2022
- FIFAW杯カタール2022 ABEMAが参入 と日本テレビ、TBS、テレビ東京は脱落
迷走していたFIFAW杯カタール2022の放送権は、動画配信サービスのABEMA の参入することで、NHK、フジテレビ、テレビ朝日、ABEMAが、放送権を獲得し、ようやく異例の決着をみた。
今回の放送権交渉を巡っては、当初、ジャパンコーソーシアム(NHKと日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京の民放5社で構成)に対して推定約200数十億円というFIFA側が高額の放送権を提示、民放5社の内、日本テレビ、TBS、テレビ東京が暴騰した放送権料に持ちこたえられず撤退、交渉は暗礁に乗り上げた。この状況を打開したのは、動画配信サービスのABEMA、高額の放送権料を負担して参入を表明、NHK、フジテレビ、テレビ朝日、ABEMAで新たなコンソシアムを組んで放送権を取得した。
各局の負担金は未公表だが、200数十億円の内、50%弱の90億円程度をNHKが負担、約70億円程度をAMEMA、約30億円程度をフジテレビとテレビ朝日が負担したと思われる。
動画配信サービスの力量を改めて見せつけた一幕だった。
これまで、FIFAワールドカップの放送権は、五輪と同様にNHKと民放5社がジャパン・コンソーシアムを組んで獲得し、NHKが約60%、残りを民放5社が負担してきたが、今回、その枠組みが崩壊した。日本テレビやTBS、テレビ東京の3社は暴騰した放送権料では採算が合わないと判断したと思われる。
一次リーグ決勝トーナメント、全64試合中、NHKは一次リーグは開幕戦や日本-ドイツ戦など15試合、決勝トーナメントは、準々決勝、準決勝、決勝戦など合計21試合を地上波、BSなどで放送。フジテレビは、一次リーグは日本-スペイン戦、日本クロアチア戦など8試合と決勝トーナメント三位決定戦など10試合を放送、テレ朝は一次リーグは日本-コスタリカ戦など8試合と決勝トーナメントは準決勝など10試合を地上波で生放送する。
今回参入した動画配信プラットフォームのABEMAは一次リーグと全48試合、この内、スペイン-ドイツ戦、アルゼンチン-サウジアラビア戦など13試合を独占生中継。決勝トーナメントは全16試合を配信、この内、準々決勝2試合をABEMAが独占生中継する
決勝はNHKとABEMAが放送する。
【各局の放送試合】
▼テレビ朝日 1次リーグ8試合 (日本-コスタリカ戦)
決勝トーナメント ラウンド16 1試合 準決勝1試合
▼フジテレビ 1次リーグ7試合 (日本-スペイン戦、日本-クロアチア戦)
決勝トーナメント ラウンド16 2試合 3位決定戦
▼NHK 1次リーグ15試合 (日本-ドイツ戦)
決勝トーナメント ラウンド16 2試合
準々決勝2試合 準決勝1試合 決勝
▼ABEMA 1次リーグ全48試合 13試合を独占生配信
決勝トーナメント全16試合 準々決勝2試合独占生配信- フルHD解像度の映像サービスを実現 過去最高の約3倍を想定した配信キャパシティを構築 マルチアングル・サービス機能搭載
Qutar2025 ABEMAのスタジオ 出典 ABEMA
- ABEMAのライブ配信で上最高峰であるフルHD解像度の映像サービスを実現し、サッカーの動きの速い競技シーンを滑らかに捉えた映像提供を可能にした。地上デジタルテレビ放送、 BS デジタル放送以上の映像品質を可能にした。 またABEMAでの過去最高の約3倍を想定した配信キャパシティを構築し、視聴者に安定した視聴環境を提供することを目指す。
ほかにも、チームカメラ映像や四分割映像、俯瞰映像などのマルチアングル・サービス機能や、リアルタイムで見られなかった試合を好きな時に何度でも見る「見逃し配信」機能を装備、さらに「追っかけ再生」で試合の途中からでも最初から視聴することを可能にした。放送後は試合中に投稿されたコメントをすべて楽しむこともできる。
解説者には本田圭佑を起用、試合を重ねるごとに評判となり視聴者を増やした。中継映像制作は動画配信プラットフォームは実施経験がほとんどなく、大きな弱点だったが、今回ははテレビ朝日と全面提携して全64試合の中継をスムーズに実施することに成功した。地上波テレビ局との新たなビジネスモデルになりそうだ。メインカメラ、4分割カメラ、チームAカメラ、チームBカメラ 全体カメラ(俯瞰カメラ) 出典 ABEMA
- ABEMAのライブ配信で上最高峰であるフルHD解像度の映像サービスを実現し、サッカーの動きの速い競技シーンを滑らかに捉えた映像提供を可能にした。地上デジタルテレビ放送、 BS デジタル放送以上の映像品質を可能にした。 またABEMAでの過去最高の約3倍を想定した配信キャパシティを構築し、視聴者に安定した視聴環境を提供することを目指す。
- ABEMAの視聴者数は激増 W杯への参入は大成功
- ABEMAの視聴者数は、11月21日(月)から日本のグループステージ第1、2戦目が行われた11月27日(日)までの1週間の視聴者数は3,000万人を突破し、開局史上最高数値となった。11月27日(日)には日本のグループステージ第2戦目となる対コスタリカ戦では、1日の「ABEMA」視聴者数が1,400万を突破し、こちらも開局史上最高数値を更新した。テレビデバイスの視聴者数も昨年同時期と比較すると330%に増加した。
12月5日の決勝トーナメントのラウンド16(1回戦)「日本VSクロアチア戦」は、勝負はPKまでもつれ込み日本は敗退したが、視聴数は試合終了直後の午前2時46分時点で約2343万まで増加。12月2日のスペイン戦で記録した1700万人を大きく上回った。- 2024年9月、週間視聴者数は3,000万人を越え、月間では5億回を超える視聴数(2025年1月)を記録している。
採算は度外視して約70億円といわれている高額の放送権料を負担したABEMAは、W杯カタール2022の全64試合を無料サービスすることで、一気に動画配信プラットフォームとしての「知名度」を上げるのに成功し、今後のビジネスの成長に多大な貢献を果たした。
今回の大胆なオペレーションのもたらした果実は大きく、ABEMAは日本の動画配信ビジネスのトップクラスに躍り出た。
- 2024年9月、週間視聴者数は3,000万人を越え、月間では5億回を超える視聴数(2025年1月)を記録している。
- ABEMA 大手サイバーエージェントとテレビ朝日が出資して設立
- ABEMAはIT大手のサイバーエージェントとテレビ朝日が出資し、2016年4月に開局。ニュースやドラマといった地上波の定番から、釣りやマージャンなど約25チャンネルをそろえる。番組中にCMが流れ、視聴は原則無料。スマートフォンやタブレットでの視聴を想定し、アプリのダウンロードは2000万を超す。利用者の約65%が35歳以下という。若者中心のOTTプラットフォームである。
- 無料配信、登録は不要で、国内唯一の24 時間編成のニュース専門チャンネルをはじめ、オリジナルのドラマや恋愛番組、アニメ、スポーツなど、多彩なジャンルの約20チャンネルを24時間365日サービスしている。
オリジナルエピソード数は国内発の動画サービスで日本 No.1クラスで、総エピソード数は常時 約30,000 本以上を配信。ほかにも、注目の新作映画、国内外の人気ドラマ、話題のアニメなど豊富なラインナップの作品や、様々な音楽や舞台のオンラインライブも展開。スポーツでは、MLBは平日ドジャース戦106試合や、パドレス戦、カブス戦も50試合以上、その他レッドソックス、オリオールズ、エンゼルス、タイガース、メッツなど485試合を生中継(2025年)、プロ野球、大相撲、Jリーグ、ブンデスリーガ、セリエA、全仏オープン、全米オープン、全豪オープンをサービス。テレビ、スマートフォンや PC、タブレット、テレビデバイス、Nintendo Switchなどで、場所にとらわれることなくライフスタイルに合わせて視聴可能。
月額1080円のABEMAプレミアムに登録すると、限定コンテンツの視聴や「動画ダウンロード機能」「見逃しコメント機能」、同時視聴台数2台など「ABEMA」の全ての機能が利用できる。広告付きのプレミアム・プラン(広告付きストリーミングテレビ:FAST)月額580円もある。キラーコンテンツのMLBのドジャーズに試合などはABEMAプレミアムに加入しないと見られない試合もある。
女子中高生から絶大な支持を誇り、“恋の修学旅行”をテーマに、現役高校生たちのリアルで等身大な“恋”と“青春”を追いかける「ABEMA」オリジナル恋愛リアリティーショー『今日、好きになりました。』シリーズが1位・2位を独占。2位は「メジャーリーグベースボール(MLB)」の2025シーズン。4位は『TVアニメ『薬屋のひとりごと』』。笑いコンビ・千鳥がMCを務めるバラエティ『チャンスの時間』が5位、8位にプロ麻雀リーグ「Mリーグ」。
- 無料配信、登録は不要で、国内唯一の24 時間編成のニュース専門チャンネルをはじめ、オリジナルのドラマや恋愛番組、アニメ、スポーツなど、多彩なジャンルの約20チャンネルを24時間365日サービスしている。