
Milano Convention Centre 出典 IOC/Milano Cortina2026
- ミラノ・コンベンションセンターに設置されたメディアのオペレーション拠点、MMC
- メイン・メディア・センター(MMC)は、ミラノ市の北西部郊外に位置する歴史的な展示センター、アリアンツ・ミコ、ミラノコンベンションセンター(Allianz
MiCo, Milano Convention Centre)に設置され、2026年1月28日、正式オ―プンした。
MMCには、アクレディを取得した新聞社・通信社・デジタルメディアなどの報道機関が取材・編集活動を行う拠点となるMPC(メディアプレスセンター)と、放送権を取得したライツホルダー(放送局等)のオペレーション拠点、IBC( International Broadcast Centre:国際放送センター)が設置され、すべてのメディアが取材・編集活動を行うために必要なすべての施設とサービスを提供する。世界の国と地域から、MPCには約3000人、IBCには約4500人が参加する。
MMCは、3階建ての業務スペースで構成され、Ground Floorには、メディアの専用スペース(1室25平方メートル)、1階にはメイン・ロビーが設置され、ヘルプ・デスク、宿泊サービス、交通デスク、ロジスティクス・サービス、到着・出発デスク、レート・カード・デスク、医療ステーションなどが整備される。二階にはプレスとフォトの共用ワークスペース、記者会見室(200席×2室 イタリア語・英語・ドイツ語・ロシア語・韓国語・日本語・中国語の8言語サービス)、IOC/OCOGのオフイスなどが設置される。
施設内には、メディア専用のレストラン、ショップ、ケータリング、輸送サービスなども備えられる。
2026年1月6日から24日までソフト・オープンし、メディアが自社のオペレーションに必要な設備の設営を始め、1月26日に正式オープン、2月22日まで24時間運用でオペレーションが行われる。
ミラノ・コンベンション・センターは、ミラノ市内で最大級の会議施設の 1 つで、総面積は80,000平方メートル、54,000 平方メートルの展示スペースを有し、72の会議室、4,000 席と 2,000 席の 2 つの本会議室と、1,500 席の講堂があり、大規模な見本市、イベントや国際会議に最適な施設である。
IBC CDU Milano Cortina2026 出典 IOC
国際伝送ルーム MCR 出典 IOC
記者会見室 出典 IOC
- AIが放送オペレーションの焦点に
- 国際放送センター(IBC)の設営・運営を担当するOBS(オリンピック放送機構 Olympic Broadcasting Services)は、Milano
Cortina2026の放送業務、サービス、イノベーションについて次のポイントを上げてプレゼンテーションをしている。
• 新しい放送技術、特にAIの統合
• さまざまなクラスターをシームレスにカバーするための技術戦略と放送業務のロジスティック面を強化
• 競技前後のbehind-the-scenes contentコンテンツなど選手へのより広範なアクセスを 提供し
• マルチプラットフォームでのサービス強化
• 放送機関等のリモート制作業務を円滑化する技術フレームワーク
• クラウドベースのソリューションを安定的に提供、コンテンツをより効率的に自国に送信可能に - OBSが導入する新たな放送サービス
- ■ 仮想化OB VAN(Visual OB VANS:VOB)
従来の中継車(OB VAN)を、COTSプリベート・クラウドベース(Comercaial off-the-Sfelf:汎用ライセンスのアプリケーションをPrivate Cloudに導入し運用)のインフラストラクチャーを利用したVisual OB VANS(VOB)に置き換えるオペレーションを加速化させる。Visual OB VANS(VOB)化の進展で、コンパウンド・スぺスの約50%、使用電力の約50%の削減が達成され、コストが大幅に削減される。カーリング、スピード・スケート、スライディング競技のリモート・プロダクションが可能になった。
■ マスター・コントロール・ルームのクラウド化
OBSは、IBC(International Broadcast Centre)の心臓部、マスター・コントロール・ルーム(Master Control Room)の完全クラウド化を実現させる。クラウド化で、ダカール2026ユース五輪大会では、IBCのラック・スぺ―スの75%、使用電力の65%が削減可能になり、IBCの設営期間を半分程度に短縮、2か月で竣工が可能になる。さらにロサンゼルス五輪2028では、ラック・スぺ―スの40%、使用電力の30%が削減可能になる予定である。
■ AI自動ディスクリプション生成システム(Automatic Media Discription)
OBSは、OBSが配信する膨大な量の競技映像のディスクリプションを、AIを駆使して自動生成させるプラットフォームを実用化に向けてテストする。映像配信を受ける放送機関等(MRHs)が映像クリップを迅速に、容易に検索するためには、ショット・ディスクリプションやキーワードが重要、今はOBSのスタッフが人力で入力していたが、配信時間が膨大になるに従って、OBSの負担が増大しオペレーションのネックになっていた。
このプロセスを、AIを利用して自動生成させることで、OBSのオペレーションが効率化され、ディスクリプションの生成もスピードアップして放送機関等(MRHs)の利便性も向上する。
■ AI自動ハイライト編集システム(Automatic Highlight Generation)
冬季五輪大会としては、初めて、AI自動ハイライト編集システムを導入する。競技終了後数分間で、高品質のハイライト映像クリップ(Ready-to-Publish Clips)が生成され、すべての放送機関等(MRHs)のサービスされる。パリ五輪2024では、約10万以上のハイライト・クリップが提供された。
■アスリート・ドローン・カメラ(PVD:Person View Drone)
競技中のアスリートのダイナミックな動きをリアルタイムで伝える15基のドローン・カメラを、スライディング競技(ボブスレー・リュージュ、スケルトン)に導入。
■AIリアルタイム360度リプレイ(Real-Time 360°Replay)
OBSとアリババ(Alibaba)が共同開発したマルチカメラ・リプレイ・システム(Multicamera Replay System)のAIリアルタイム360度リプレイを導入する。ストロボスコ―ピック(Stroboscopic)画像やマルチアングル、ストップモーション、スローモーション画像の提供が可能。アスリートのスキルや技術、卓越した演技パーフォーマンスを視聴者は臨場感あふれた映像で楽しむことができる。

■カーリング・ストーン・トラッキング・システム(Curling Stone-Tracking System)
最先端の映像技術を駆使して、カーリング・ストーン・トラッキングを映像化した。それぞれのストーンのパス、回転、タイミングなどがリアルタイムで映像で表現される。さらに頭上に設けられたレールカメラや氷面レベルのカメラで立体的に撮影し、カーリング競技の戦術的なゲーム展開を視聴者に魅力的に伝える。
■ AI オリンピック GPT
Olympic.comのウエッブサイトで、AI オリンピック GPT(AI Olympic QPT)を提供する。競技結果や競技ルール、競技場情報などさまざなコンテンツがサービスされる。初めて、リアルタイムで競技結果がユーザーに提供される。ユーザーの競技に関する質問に答える機能も備え、双方向サービスに力を入れる。
■ AI オリンピック ハイライト(AI Olympic Highlights)
始めて、AIを利用したオリンピック ハイライトをOlympic.comのウエッブサイトでサービスする。
ユーザーは、セレクトした競技のトップ・ストリーを瞬時に楽しむことができる。次にアクセスするおすすめコンテンツ情報のサービス機能を強化してユーザーの便宜をはかかり、魅力的な記事や映像の検索を容易にする。
■ オフイシャル・フィルム イタリアの17日間
オリンピック・ニュース・チャンネル(OCS:Olympic News Channel)は、初めて、コルチナの山岳地帯からミラノ繁華街までイタリア全土の17日間の街の姿を撮影する。
総監督は、イタリアのプロデューサー、Chiara Messineoが担当し、全世界にサービスされる。
- 複数都市で開催する「広域開催」
出典 Milano Cortina2026
- イタリア北部で行われるミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪大会2026は、膨張する開催経費を抑制しようとするとする国際オリンピック委員会(IOC)の改革の元で、初めて複数都市が組織委員会を作る「広域開催」大会で、今後のオリンピック運営の分岐点となる大会となる。
大会は、オリンピックが2026年2月6日から22日までの17日間、パラリンピックは 3月6日から15日までの10日に渡って開催され、オリンピックでは新競技の山岳スキーを含む16競技116種目、パラリンピックでは6競技79種目が実施され、195のメダルを競う。 93の国と地域から約3500人のアスリートが参加する予定である。
競技は、ミラノ(Milano)、コルティナ・ダンペッツォ(Cortina d'Ampezzo)、バルテリナ(Valtellina)、バルディフィエメ(Val di Fiemme)の4つクラスターとベローナ(Verona)の14競技会場で行われる。。開催エリアは約2万2000平方キロメートルに及び、冬季五輪としては過去最大のエリアでの開催となる。
「広域開催」となるこの大会の最大の課題は、イタリア全土に展開する14の競技会場(Venue)の放送オペレーションをどう円滑に実施するがである。OBSでは、14の競技会場(Venue)とIBCとの間を、200Gbpsのインターネット接続(北京2022大会比2.5倍)を整備して、IPリモートオペレーションも駆使することでスムーズな放送オペレーションを確保する戦略である。
また放送スタッフや機材の円滑な移動も課題となる。ミラノとコルティナ・ダンペッツォ間は約300キロメートル、さらに遠隔地に点在するクラスター間の交通手段の確保がポイントとなる。
出典 IOC
- イタリア北部で行われるミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪大会2026は、膨張する開催経費を抑制しようとするとする国際オリンピック委員会(IOC)の改革の元で、初めて複数都市が組織委員会を作る「広域開催」大会で、今後のオリンピック運営の分岐点となる大会となる。
- マウンテンメディアセンターに代わって設立されるE-VMCs
- ミラノコルティナ2026大会は、競技会場がクラスターに分散しているため、マウンテンメディアセンター(MMC)は設置せず、主要なクラスターにEnhanced
Venue Media Centres (E-VMCs) を設置して、放送オペレーションとメディア・サービスを強化する。
- ■ オリンピック
• Cortina cluster Cortina Curling Olympic Stadium
• Valtellina Cluster Livigno Snow Park
• Val di Fiemme Cluster Tesero Cross-Country Skiing Stadium
■ パラリンピック
• Milano cluster Milano Santagiulia Ice Hockey Arena
• Cortina cluster Cortina Curling Olympic Stadium
• Val di Fiemme cluster Tesero Cross-Country Skiing Stadium
- ■ オリンピック
- ホストブロードキャスターOBSの放送オペレーション
出典 OBS
■放送時間
• ライツホルダー(MRHs)コンテンツ配信 6,500時間以上(北京2022大会比8.3%増)
• 競技中継と式典のライブ配信 900時間以上
• 関連素材の配信コンテンツ 5,450時間以上(映像・音声)
■映像・音声信号Feed
• ベニューからのUHD送信 20チャンネル
• マルチクリップフィード 17チャンネル
• HD配信 44チャンネル
• UHD配信 44系統
■映像・音声信号制作 中継カメラとマイク
• カメラシステム 810台以上
・シネマティックカメラ 32台
・ドローン 24基(PVD:Person View Drone 15基 通常Drone 9基)
・ライブビューティーカメラ 12台
・マイク 1,800本以上
■映像・音声信号制作ユニット
• 制作ユニット 20台(うち3台はバーチャル中継車)
• 制作ギャラリー 25室
■Footprint
• IBC放送エリア 27,000平方メートル(北京2022大会比25%減)
• 競技中継会場(Venue)の放送コンパウンドスペース
合計60,702平方メートル(北京2022大会比16%減)
• IBCの総電力需要 4,000KVA(北京2022大会比33%減)
• 競技会場の総電力需要 8,200KVA以上(北京2022大会比25%減)
■ホストブロードキャスター・スタッフ(推定)
• OBSスタッフ 5,000人以上(90以上の国と地域)
• 放送研修プログラム(BTP)要員(有給ポジション) 650人
■接続
• IBCとPoPを接続する総容量:1Tbps
(ミラノ・インターネット・エクスチェンジのピーク時の約70%に相当)
• IBCと競技会場・セレモニー会場間は200Gbpsのインターネット接続(北京2022大会比2.5倍)
• PoP 3か所(パリ、フランクフルト、ミラノ)
■メディア権利保有者(Media Right Holders)
• MRHs 14社
• 放送機関等 80以上の国と地域でサービス
(MRHsからサブライセンスを受ける機関を含む)
Milano Cortina2026では、コンテンツの配信時間が北京冬季五輪2022より8.3%以上増加する一方で、Milano Cortina2026の国際放送センター(IBC)はIBCは北京冬季五輪2022より25%縮小され、競技会場(Venue)の放送コンパウンドスペースは16%縮小される。消費電力も大幅に削減される点が注目される。放送システムのIP化、クラウドの導入、放送機関のリモート・オペレーションの普及などが大きく寄与していると思われる。- 各国メディアのMilano Cortina2026サービス
イタリア – Rai
ホスト国の公共放送局、Raiは、イタリアにおける独占報道権を獲得し、地上波テレビ、ストリーミング、VODで合計250時間の放送・配信を行う。
Rai 2、Rai Sport、RaiPlay、Rai Radio 1、Rai Radio 1 Sport、RaiPlay Soundで放送され、オリジナルのソーシャルコンテンツも提供する。
ヨーロッパ – ワーナー・ブラザース・ディスカバリー (WBD)
すべてのライブ競技・イベントは、ヨーロッパ全域(イタリアとドイツを含む)のHBO Max加入者全員に配信される。一部の地域ではDiscovery+でも視聴可能。
WBDのリニアTV放送は、Eurosport(ヨーロッパ)とTNT Sports(英国およびアイルランド)で引き続き視聴できる。
新しいストリーミング機能には、キーモーメントマーカー、金メダルアラート、最大20言語の解説、パーソナライズされたスポーツフォローツールなどが含まれる。
米国 – NBCユニバーサル
NBCは、これまでの冬季オリンピックよりも多くの番組を放送。毎日、昼間に少なくともの5時間に渡って、主要競技を生中継する。
Peacockは引き続きミラノ・コルティナ2026のストリーミング配信の中核となり、すべての競技とイベントのライブ、イベント全編のリプレイを始め、NBCの全リニア番組、バーチャルチャンネル、独占オリジナル番組をサービスする。またMultiviewを復活させるなどデジタル機能を強化する。
人気のGold Zone番組が復活し、PeacockとリニューアルしたNBC Sports Networkで毎日ストリーミング配信されます。視聴者は最高のライブアクション、メダル獲得の瞬間、そして主要なストーリーを楽しむことができる。また、有料テレビ契約者は、NBCSports.comとNBC Sportsアプリの視聴も可能。
• USA Network(Team USAの24時間年中無休放送)とCNBCでも引き続きサービスされる。
カナダ – CBC/ラジオ・カナダ
CBCは、テレビ、ストリーミング、デジタルプラットフォームを通じて、2,000時間以上のライブコンテンツをサービス。カナダのメダル獲得の瞬間すべてが含まる。
ライブストリームとフルリプレイは、CBC Gemで無料で視聴できる。
専用ゲームサイトでは、スケジュール、結果、ハイライト、選手プロフィール、毎日の最新情報を提供し、ソーシャルメディアとデジタルメディアによる充実した情報発信を行う。
Australia – Nine
Nineは、9Network、9Now、Stan Sportを通じて、2,600時間以上の冬季オリンピック中継をサービス。
ラジオ、出版、デジタルプラットフォームも活用し、統合されたオリンピック体験を提供する。
China – China Media Group (CMG)
CMGのマルチメディアプランは、3つのスポーツテレビチャンネル、ニューメディアプラットフォーム、ラジオを網羅し、市場で最も広範なリーチと最大のイベントフットプリントを実現する。
ミラノ大聖堂とリヴィーニョにサテライト・スタジオを設け、イタリア文化とスポーツのストーリーテリングを融合させ、リアルタイムのイベント最新情報やアスリートに焦点を当てた特集番組を制作する。
日本 – NHKとJBA
NHKは、NHK総合テレビとETVでオリンピック中継を行い、大会開催に先立ち、冬季スポーツ、アスリートの軌跡、舞台裏のストーリーなどを特集する様々な事前スペシャル番組を放送する。
民放系列局(JBA)は、地上波と系列衛星放送局の両方で、主要イベントのライブ放送と週末のハイライト番組を放送する。
冬季オリンピックでは初めて、民放系列局が参加するデジタルプラットフォーム、TVerが基幹プラットフォームとなり、モバイル、ウェブ、テレビアプリで競技・イベントのライブ中継を始め、関連番組、毎日のハイライト番組の同時ストリーミング配信をサービスする。
出典 IOC