- OBS Cloud 3.0 パリオリンピック2024に向けてリリース
- Alibaba Cloud は、Paris 2024 向けにて、OBS Cloud 3.0 のリリースを発表した。 OBS Cloud 3.0
には、AI を活用したクラウド・テクノロジーが実装され、OBS と放送機関、デジタル・プラットフォーム、ソーシャル・メディアの放送オペレーションがより容易にかつ効率的になる。
OBSは、世界4カ国の14か所のAlibaba Cloud、“阿里雲”(内2か所は高速・大容量施設)に、OBS Cloudを構築して、初めてParis2024からすべての国際映像信号(ホスト映像信号 ITVR)の配信をOBS
Cloudで行うことを実現した。
OBS Live Cloud では、五輪大会のすべての競技やセレモニーの映像・音声のライブ配信を始め、多様な映像素材をサービスして、放送機関等のライツホルダー(MRSs)への国際リモート配信の中核となった。OBS
Live Cloudはオリンピック放送オペレーションにおける新たなマイルストーンとなる。
また、OBSやMRSsが、OBS Cloud上で、ハイライト映像などのリモート編集・制作が可能になる機能も実装された。さらにマルチカメラ・リプレイ・システムによる映像をクラウド上でAI画像処理して生成するフレーム・フリーズ・スローモーション・リプレイ(Frame
freeze slow motion replay)を実現、競技のライブ・セッションで利用して、MRSsに提供する。
OBS Live Cloud は、東京夏季五輪1964でオリンピック大会史上初めて登場し、衛星配信に代わってMRHs への主要な配信ツールとなっていった。
出典 Alibaba
- OBS Live Cloud Paris2024で配信ツールの主流に
- Paris2024では、国際リモート配信サービスを申し込んだ54の放送機関等の内、の3分の2がOBS Live Cloudを使用し、その内2つの放送機関等が高解像度(UHD/4K)の配信でOBS
Live Cloudを利用した。Alibabaによると、379 本のビデオ (11 本は UHD、368 本は HD) と 100 本のオーディオ
フィードがOBS Live Could経由で配信したとする。Paris2024では、OBSのフルターンキー・サービス(Full Turnkey)、マルチ・チャンネル配信サービス(MDS)や多様な映像素材を配信するMCF(Multi-Clip-Feed)が、衛星経由で配信されるだけでなく、初めてOBS
Cloud経由でも配信されたクラウド経由のコンテンツ配信は、低遅延と安定性、高復元力が保障され、拡張性、柔軟性、コストの面で衛星など他の配信方法よりも優れているとされている。放送インターネットの容量は100Gbps、各ベニューから直接MRHsへの送信量は東京五輪2020に比べて279%増、この結果、五輪大会の総国際送信量は4.2Tbps超となった。
出典 Alibaba
- OBS Live Cloud実現させたアリババ クラウド(Alibaba Could)
OBSとAlibaba OBSクラウドのサービス開始で合意 出典 Alibana
- OBSがクラウドの導入に成功した鍵は、中国のIT企業、阿里巴巴集団(Alibaba Group)が提供する巨大なクラウドシステム、“阿里雲”である。
Alibaba Groupは2017年に、国際オリンピック委員会(IOC)最高位スポンサー「TOP」となり、2028年まで3回の冬季・夏季五輪をIT分野で独占的にサポートすることになった。
2018年9月、「TOP」スポンサーの立場を活かして、Alibaba は、OBSとクラウド上で作動する革新的なブロードキャスティング・ソリューション、OBS
Cloudを立ち上げることで合意、ライブ中継信号の配信を始め、ハイライトなどのコンテンツの制作やストレージをクラウド上で円滑・安定的に行うことを可能にした。
Alibaba Groupは、中国国内を始め、米国、欧州、中東、アジア・太平洋地域など世界30地域(15カ国)に89のデータセンターを設置している。世界のクラウド市場のシェアはアマゾン・ドットコム(Amazon)やマイクロソフト、アルファベット(Google)によって占められ、アリババは5%弱にとどまり後発企業だが、中国市場では39%のシェアを持ち、アジア市場ではトップとなっている。
アリババは、OBS Coudを取り込むことして、Alibaba Clud戦略のフラッグ・シップとする目論見があった。
OBS Coudの実現を掲げて、Alibaba Cludのサービス対象地域を一気に拡大する。2024年5月にはメキシコに新たなデーターセンターを開設、今後3年間で韓国、タイ、マレーシア、フィリピンなどにもを新設する計画を明らかにしている。
また同社製のAI言語などのAI関連ソフトウエアを搭載したクラウドを武器に攻勢に出る戦略を立てている。
- Content+
パリオリンピック2024 IBC CDU 出典 Alibaba
- Content+は、OBS Cloud上でサービスするOBSの主力コンテンツ・デジタル配信プラットフォームである。RHBsは、大会期間中に制作された全ての映像や音声コンテンツにアクセスできる。
Paris2024では、OBSはすべてのコンテンツをOBS CloudでMRHsにサービスすることを開始した。競技やセレモニー、イベントのライブ中継や選手のインタビューや会見、選手のウオームアップ・エリアなどの舞台裏素材(bihind-the-scenes)、独自制作ショート・ストリー・クリップ、ソーシャルメディア用素材、MCF
Feedなどで構成され、デジタル・プラットフォームを重視したサービスである。Paris2024では約17,000本の素材が配信された
この内、Content+の中核となっているショート・ストリーでは、Paris2024では9000本をサービス。配信はすべてOBS Cloudで行われた。
映像コンテンツは、放送、デジタル・プラットフォーム、ソーシャル・メディアなど多様なMRHsのニーズに応じて、3 つの異なる解像度(4KUHD/HD/デジタル)で、IP/SDIの双方のフォーマットでサービスする。50/59.94の方式変換もサポートする。Paris2024では初めて4KUHD
でもContent+を配信した。オーディオ・パッケージも配信される。
デジタル・プラットフォームやソーシャル・メディアに対しては、ダウンロード際に、データ容量が軽いインターネット・プロトコの映像、スマホ向けの縦長映像などもサービスされる。
MHRsは、ライブ中継コンテンツについては、低解像度ファイルをほぼリアルタイムで参照しながら、競技やセレモニーの本線コンテンツを取得できるようになった。
MHRsはコンテンツの一部をマークして、ライブ中継を継続中にも、ポストプロダクションのニーズに合わせて必要な素材をダウンロードすることが可能、ハイライト・コンテンツの制作が瞬時に可能になる。
Content+を利用するには、MHRsはOBS へのSubscriptionが必要となる
Paris2024では世界中の17 の RHBs と4つの通信社が、Web ベースのインターフェイスを通じてこれらのクリップをダウンロードするフル・サービスに加入した。この内、2つのRHBsは、4KUHD/HDRの配信サービスを利用した。
Content+は、MRHsのリモート制作ワークフローの効率化にメリットが大きく、Content+の配信を利用することで、MRHsの負担軽減につなげることが可能になる。
- クラウド上で編集作業化可能に
- Paris2024からContent+は、編集機能という新機能を実装した。MRHsは世界のどこからでも容易に独自のハイライト・クリップなどをクラウド上でリモート編集・制作作業が可能になる。コンテンツは3つの異なる解像度でダウンロードできるため、リニア、デジタル、ソーシャルメディアなど、様々な用途で容易に利用できる。
- OBS マルチカメラ・リプレイ・システム AI搭載で視聴体験を向上
- Paris2024では、OBS マルチカメラ・リプレイ・システム(Multi-Camera Replay System)により、選手のパフォーマンスのフレーム・フリーズ・スローモーション・リプレイ(Frame
freeze slow motion replay)が提供され、視聴者は選手の素早く迫力の動きを映像で体験することができるようになった。
ラグビー7人制、バドミントン、陸上競技、バスケットボール、ビーチ バレーボール、卓球、レスリング、テニス、柔道、ブレイキング、BMX フリースタイル、スケートボードなど、21
の競技、14 の会場に17 のシステムが設営された。
すべてのマルチカメラ・リプレイ・システムの画像は、クラウドに送信され、Alibaba Cloud に搭載されたAI機能で、ライブ空間再構築とリアルタイム3D
レンダリングを行い、ライブ中継や素材伝送でサービスされる。競技の最もエキサイティングな瞬間のシームレスな画像処理は、わずか数秒で行うことができるという。
マルチカメラ・リプレイ・システム 出典 OBS
マルチカメラ・リプレイ・システム 出典 OBS