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- フジテレビが検証番組、中居氏問題「場当たり対応」 港浩一元社長と大多亮元専務、経営陣トップが若手女性社員を宴席接待要員として自ら組織化 問われる腐敗した企業風土
画像出典 「検証 フジテレビ問題 反省と再生・改革」
- 2025年7月6日、フジテレビは元タレントの中居正広氏に関する一連の問題について、自社の取材に基づく検証番組を放送した。検証番組のタイトルは、「検証 フジテレビ問題 ~反省と再生・改革~」。午前10時から同11時45分まで、CMを挟まずに放送された。
前社長の港浩一氏ら当時の幹部を取材し、「場当たり的な対応と危機意識の希薄さ」などと対応の誤りを自己批判した。
番組は、宮司愛海アナウンサーや木村拓也アナウンサーが進行役を務め、清水賢治社長が出演した。清水氏は番組の冒頭で、反省と謝罪を口にし、再生・改革に向けて「テレビの使命を能動的に果たしていかないといけない」などと述べた。有力タレントとの距離の近さが社内評価に反映されてきた組織の在り方については、「ビッグタレント連れてきました、企画書は真っ白という企画が通るのはおかしい。今後は企画の査定を厳密にする」とも語った。
3月31日に公表された第三者委員会の調査報告書は、元フジアナウンサーの女性が2023年6月に、中居氏から「性暴力」を受けたと認定(中居氏側はこれについて一部反論)。フジテレビ社員としての「業務の延長線上」で行われた、重大な人権侵害だと断罪した。
フジ側の対応については、港氏や当時専務の大多亮氏らが、コンプライアンス部門への情報共有などを怠ったと批判。数人の壮年男性のみの偏った視点で検討した結果、人権問題と捉えることができなかったとした。
フジテレビは、今回の事案を、プレーベートな事案とすることで、企業側の責任を回避しようとした首脳陣の目論見があったと思われる。中居氏のマンションを一人で訪れたことで発生した事案として、業務の延長線上とはあくまで切り離すことで乗り切ろうとしたと思われる。その背景に、フジテレビの人気番組を支える中居氏への忖度があったことも見逃せない。
番組ではこうした経緯を踏まえながら、当時の経営陣らがどこで判断を誤ったのか、また問題の背景として指摘された組織風土がどのようなものだったかについて、独自に関係者の証言を集めて検証した。
- 港浩一元社長、フジテレビの若手女性社員を集めたグループを結成 接待要員として組織化
- 第三者委は、問題の背景に「ハラスメントに寛容な企業体質」や「旧態依然とした昭和的な組織風土」があったことを指摘している。番組はこれに関して、港氏や大多氏が頻繁に開いていた不適切な会合についての証言を紹介した。
2010年代後半に撮影された写真、中央に座るのは港浩一社長である。その周りにいるのは全員がフジテレビの女性若手社員たち。彼女たちはあるチームに選ばれた社員。
メンバーの内、取材に協力の意を示した2人の女性社員がインタビューに応じた。
この女性は、フジテレビに入社してから1ヵ月ほどたったころ、先輩からある会合の誘いを受けた。彼女は会合場所である都内の高級料理店へ向かった。「当日、その場に行くと女性がたくさんいて、『おめでとう この会のメンバーに選ばれました。でもこの会は港さんと一緒に仲良くお食事をする会だから本当に安心してこの会はセーフな場所だから安心して参加してくれれば大丈夫です』と言われました。
店内にいたのは、港氏と様々な部署の先輩女性社員たち、「美しい素敵な女性社員がいっぱい集まっていてこれは見た目が重視される会だと思った」
彼女たちは港氏が主宰する会に参加するメンバーだった。
主な目的は芸能プロダクションとの会合だったが、この写真のように港氏が
メンバーがメンバーをねぎらう会合などもあった。
第三者委員会の報告書によると、このチームは、港氏がバレエティ担当役員だった2010年頃にチームを結成、会合は1か月から3か月に1回のペースで開かれていた。
メンバーはどのように選ばれていたのだろうか。
メンバーだった別の女性に話を聞いた。
「私が説明を受けたのは、入社式に港社長が来て先輩メンバーが並んでいる新入社員の中から、「あの子がいいよとか(港氏)に推薦があって、港さんが最終的に指名していると聞いた」
チームには暗黙のルールがあった。
「この会は、ほかにどんな用事があっても基本的には必ず参加する。この会のメンバーから誘われた飲み会は、最優先に(スケジュール)に入れる。選ばれていない女性もうるので、例えば嫉妬につながるとか、『あまり会のことは外にいわないでほしい』と言われた」
断ってはいけない会合、秘密にしなければならいと言われたという。
第三者委員会の報告書では、港氏が主宰する会合で、不快な思いをしたと述べる人はいなかったとしている。
ところが港氏がいないところでも、メンバーの存在を知った番組プロデューサーらが個別に接触して接待に参加させていたこともあった。
こうした港氏がいないところで行われた接待は、女性たちの負担になっていた。
メンバーだった女性は、「終わりの時間は、深夜1時、2時までかかることもあったし、隣でお世話するじゃないですけど、お酌したりすることありました。体力も精神も使い切ったなと終わった後、感じていた」と語った。
さらにこの女性はある大物タレントの接待に参加したが、「この後、2人で飲めないか?」って、連絡が来るようになって、むげに断ることができないし、私が断ることでフジテレビのことが嫌いなってしまう、大好きな会社が不利益を被ると思うと、下手に動けないと思って、相談すれば『湊さんを囲む会』の存在もばれてしまうので、それを言えないというジレンマがかなり精神的には辛かった」としている。
Q チームが異様だったという証言がある
港元社長:「良い仲間ができていければいいなあと思ったし、先輩、後輩がつながりが持てる良い会だと思っていた。ちょっとそれは以外でしたし、そういうことを思っていた人もいたことは、申し訳ないと思う」
この会合は、港氏がグループ会社の社長になる2015年頃まで定期的に開催され、その後頻度が減り、コロナ禍を契機に終了した。
- 大多享元専務 「女性アナウンサーは上質なキャバ嬢だ」
第三者委員会の報告書では、フジテレビ社内に「年齢・性別・容姿に着目した取引先との会合」が問題視されているが、後に社長になる港氏自身がそのような会合に深く関わっていて、さらにもう一人の幹部、大多享(おおたとおる)元専務取締役もこうした会合を行っていた。
大多氏が会合に呼んでいたのはフジテレビの女性アナウンサーだった。参加していた女性アナウンサーがカメラの前に証言している。
「仕事がなければ拒めないし、会合が先に予定に入った場合、仕事のスケジュール上に入れるようにと…。
大多氏は、数々のヒットドラマを手掛け、バラエティの港氏と共にフジテレビの黄金期を支えた人物、集材した女性は、大多氏が女性アナウンサーに語った言葉が忘れられないという。「女性アナウンサーは上質なキャバクラ嬢、ホステスとして売れるアナウンスが良いアナウンスだ」というのを(大多氏)はいつもおっしゃっていた。なのでそういう会で盛り上げれば盛り上げる能力があるだけアナウンスとしての資質が高いという評価につながっていた。だから一生懸命、接待もみんな頑張ろうと必死になっていたと思う」
この発言の真意について、大多氏は、「言葉の選び方が悪いということだ。なんかそこだけ取り上げて…、言葉の選び方が悪いということだ。そんな風に本当に思っていなかったし…」と語った。
そして言った記憶があるかという問いには、「ない。ないけど記憶されている方の方が絶対記憶されていると思うので、それは否定はしない」と答えた
これは女性アナウンサーに対し社外への会合への参加を呼びかけるメッセージ、二人のやりとりを再現した。
「〇〇会を開催しようとしていますがスケジュールはどうでしょうか」 「ありがとうございます。傘下させて頂きます」 「若い子で性格のよさそうな子はいませんか」 「新人の連絡先がわかりませんので宜しくお願いします」
参加者として選ばれる基準は、あったのだろうか。
「老若男女ではない。基本的に既婚者はその会には呼ばれない」 この女性は、会合で不快な会話が交わされいやな気持になったという。
しかし、「断ると仕事がなくなってしまうという恐怖があった」と証言する。 一方、参加したアナウンサーの中には、「主演者とたくさん話せて勉強にもなった」と語る人もいた。 大多氏は自らの会合について、こう振り返っている。
「普通に会合や懇親会は、会を開いた人の責任としてきちんとやっていけばいいと思う。でも中身が、それはどうなんだということであれば、それは謝らなければならないし、そいうこういうことすべてアップデートしていかない限りは、いけないと思う」
後に、港氏は社長に、大多氏は専務に昇進、ハラスメントに寛容と指摘された企業体質の中で、フジテレビはAさんの人権侵害事案に適切に対応することができなかった。 さらに第三者委員会の報告書は、ハラスメントが蔓延した一因として、被害の申告が適正に対処されなかったことを上げている。フジテレビの黄金期を支えたとする経営の中枢を担う社長と専務の専務の二人が率先してハラスメント行為を行っていた事実が明らかになった。汚れ切ったフジテレビの陰惨な企業体質には唖然とするばかりである。とてもメディアを担うテレビ局とは思えない。
- 佐々木恭子氏「絶対に自分たちでできることじゃなかった」
- 当時アナウンス室部長として女性のケアに当たった佐々木恭子氏は、「初動から専門家が関わっていないと、絶対に自分たちでできることじゃなかった」と対応が不十分だったことを認めた。
第三者委は、佐々木氏がメンタルケアの専門家ではないにもかかわらず、上司から女性との連絡を一任され、「大きな精神的負担が生じた」と指摘。その一方で、港氏や大多氏らが対応を協議する場には呼ばれず、意見を求められることもなかったとした。
当時、港氏や大多氏が、率先して若手女性社員を組織化して、宴席を頻繁に開き、外部と宴席に接待要員としてかりだしていたことを、佐々木氏が知らなかったはずはない。見て見ぬふりをして、人権無視の企業風土を助長した責任は重い。その延長線上に今回の中居正広女性加害問題が起きたことは明白である。
- 元編成部長 プライベートもなげうって一目散に飛んでいく」ような間柄
中居氏から託された100万円を女性が入院中の病院に届けるなど、「二次加害になりうる不適切な行為」で降職処分を受けた元編成部長をめぐっては、複数の社員が中居氏との関係を証言した。 Aさんをさらに苦しめたのは、編成部長B氏による二次加害になりうる行為だった。
「何かお役に立てることがあれば動きます」
B氏が中居氏に送ったメールの文面、中居氏への姿勢が伺える。Aさんの入院中には、中居氏から託された100万円を病院に届ける。さらにAさんの人権を侵害した中居氏にフジテレビの番組に出演していた弁護士を紹介した。
これらの行為が報告書では、Aさんに対する二次加害行為に当たりうると評価された。
B氏と中居氏にはどんな関係だったのか。
B氏とバラエティ番組で一緒に仕事をしていた社員が証言した。
「(B氏)自身の口から何度も聞いたことがあるのは、中居氏とは麻雀仲間だった。その中で、中居氏から『今から来られないか』みたいな突然の電話があって、その電話の時には基本的には外せない業務を除いて、プライベートも投げ打って一目算に飛んでいく…」
B氏と中居氏が出会ったのは、まだB氏がまだ駆け出しのスタッフの頃、その後の二人の関係は変わらなかった。
「どのタレントさんと局員だったり製作者が向き合う時も、初めて出会った時の関係性がずっと保たれていくのが慣例で、中居氏と彼が出会った時の関係のまま、彼がどれだけ出世してもあまり変わらないと思う」
B氏がバレエティ部門で出世した背景はなんだったのだろうか。
B氏を知る別のフジテレビ社員は、こう語る。
「特定の力の強いタレントさんと距離が近く、力の強いタレントさんと大型番組を作り、ヒットさせていることが実際に社員として評価されているという事情があったと思う」
2022年10月、B氏は、中居氏の新番組を立ち上げ、番組改編の大きな目玉となった。
そして2023年6月、テレビ局の中枢、編成局長に抜擢、丁度、この時期にAさんの人権侵害事案が発生した。
フジテレビは、先月、元編成部長B氏が「100万円を病院に届ける」、「中居氏に弁護士を紹介する」の行為を、Aさんへの二次加害に成りうる不適切な行為として認定、ただ、「Aさんの被害申告内容を把握していない」、「病状な心情を認識していない」などを考慮して、退職勧告や懲戒解雇ではなく、他の事案と合わせて4段階の降格処分とした。
Aさんはフジテレビに対して、「組織風土をしっかり見直し、二度とこのような被害が起こらないように努力を続けて欲しい」などとコメントした。
視聴率アップを狙って有名タレントの獲得競争を繰り広げているテレビ局は、有名タレントの行き過ぎた忖度体質が問題となっている。旧ジャニーズ事務所のジャニー喜多川氏の性加害に見ぬふりをして被害を「助長」したテレビ各局と今回の事案は同じ悪しきテレビ局の体質に根ざしている。今回の事案は、フジテレビで発生したが、同種の事案が他の民放でも頻発していることを恐れる。
- なぜカメラを入れない会見になったのか
年が明けた1月17日、フジテレビはカメラを入れない会見を行った。なぜテレビ局にも拘わらずこのような形式をとったのか。
Q カメラを入れることの抵抗感はあったのか
港浩一元社長 「定例社長記者会見が組み込まれていて、1月31日に予定されていたので、それの前倒しという形をとろうと、これでしたら毎月定例で行っていたから限られた準備期間でも読めるかなという風に…」
記者クラブが主催する定例会見は、出席者が限定されており、普段からテレビカメラを入れずに行われている。カメラを入れるか否か、議論を尽くさずにこの定例会見を前倒しすると判断した。
会見までの4日間を検証すると場当たり的な対応と危機意識の希薄さが浮き彫りになった。
三連休明けの1月14日、年末からの週刊誌報道の影響により、港元社長に広告収入など「90億円減収の減収の可能性がある」という報告がされた。
翌15日、週刊誌が続報を報じることが分かった。 それは、元編成部長B氏を巡る新たな疑惑だった。
これを受けて、1月22日に会見することを模索、ところが会見の「準備をしていたコンプライアンス室長らに連絡が入った。突如、会見が17日に前倒しになる
コンプライアンス推進室長(当時) 坪田譲治氏は、「突如、21日の記者会見が17日に前倒しになると聞いて非常に驚いた」
会見担当の石原正人常務によると、早期に対応を求める声が社内から上がり、港社長が前倒しを決定したという。
社会に対し説明責任を果たさなければならない重要な局面にも拘わらず、会見に先立って取締役が集まって議論することもなくガバナンスが機能していない状態だった。
一方で、テレビカメラを入れない会見形式について、社内の一部から反対の声が上がった。しかし、港社長はテレビカメラを入れると「女性Aさんに悪影響を与える恐れがある」などとして判断を変えなかった。
数枚の写真のみで報じられたこの会見は大きな非難が寄せられた。
港氏は、「紙芝居みたいに言われていたが、こうなってしまうのかということを見た時に、これはちょっと判断ミスをしてしまったなと思った」と語っている。
Q 被害女性についてはこれまでどのような対応したか
「調査委員会でしっかりやっていくことだと思う」(港氏)。 会社の対応すら回答しなかった。
そして中居氏の番組継続を判断した理由を問われると、「対応が正しかったかということも含めて調査員会で調査してもらう」
Q Aさんと中居氏で何らかの会食が持たれたのは事実か 「うちは関与していなので答える立場にない」
フジテレビは、この事案を「プライベートな事案」と捉えていたため、会社として全体像や背景を調査しておらず、説明責任を果たせる情報を持ち合わせていなかった。
報告書は、その場しのぎと批判した上で、港社長を含めて経営幹部に、社会一般における人権意識との大きなズレがあったことを指摘している。
- ニュースのタイトルを「謝罪」から「説明」に変更させた経営陣
それが顕在化したのは報道番組での一幕である。 番組では、当初は「謝罪」と表現していた。 しかし、途中から「説明」へと変わった。これは経営陣の意向が反映されたものだった。 「『謝罪』会見なのかと言ったら、誰に対しての謝罪なのかというである。これまで説明してこなかったことに対するお詫びである。それを謝罪会見と言い方で捉えるのは違和感があった」港浩一社長 「『謝罪』というのがいきなり前面に出るのは、『説明』を主体に置いた会見としてはどうなんだろうという議論というか話をした」 フジテレビは視聴者からの信頼を失い、多くのスポンサーがCMの出稿停止、そしてわずか10日後、再び会見を開き、港元社長は「弊社のこれまでの対応が彼女にとって深い失望を抱かせてしまったと思う。申し訳ありませんでした」と述べ、頭を下げて全面謝罪した。 1月27日、フジテレビは二度目の会見を開いた。今度は、ネットメディアを含めてあらゆるメディアに参加を許可した。制限付きではあるがテレビの生中継行われた。港元社長らはテレビカメラの前で一転して女性Aさんに謝罪した。
- 日枝久氏は出演なし、三度の取材依頼にも応じず
- 番組は、社長や会長などとして約40年にわたって経営に関わり、第三者委が「組織風土の醸成に与えた影響も大きい」とした日枝久氏についても検証を行った。歴代の社長や幹部への取材でその人物像を伝えたが、日枝氏本人は出演もコメントもしなかった。番組では3回にわたって取材を申し込んだが、応じることはなかったという。
- フジFMH、営業赤字120億円 広告減で下方修正 26年3月期
- 7月31日、フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(FMH)は、2026年3月期の業績予想を修正し、営業損益が120億円の赤字に転落する見込みだと発表した。一連の問題を受けて大幅減となったフジの広告収入の回復が、当初の予想を下回っているという。
5月16日に発表した前回予想では、フジの通期の放送収入を983億円と見込んでいたが、208億円減の775億円に下方修正。これに伴い、25億円の黒字と見込んでいたFMHの営業損益が赤字に転落した。4~6月のフジの放送収入は、前年同期比83・1%減の59億6800万円。フジテレビの信頼回復はまだまだ先が遠い。
- 福山雅治、大多氏主催の“ハラスメント会合”に出席
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福山雅治 出典 Wikipedia
- 歌手で俳優の福山雅治氏のフジテレビ〝不適切会合〟問題はテレビ業界と芸能界の“魑魅魍魎“の体質、コンプライアンス意識の欠如したお粗末な実態を明るみに出した。
今年3月、フジテレビが設置した第三者委員会は調査報告書を公表し、中井正広性加害事案の「類似事案」といして、フジテレビの大多亮専務(当時)が「懇意にしている特定の男性有力番組出演者との会合に女性アナウンサーや女性社員を同席させていた」として、「当該会合における大多氏や当該番組出演者の会話がいわゆる下ネタ的な性的内容を含んだものであった旨述べる者も多数おり、不快であった旨述べる者もいた」と記述していた。大多氏は、女性アナウンサーを宴席の接待役、“ホステス”として同席させていた。
ここで出てくる「男性有力番組出演者」が福山雅治氏だったことが明らかになった。
スクープした女性セブン(9月4日特大号)によると、福山雅治氏、は2005年ごろから年に1〜2回、大多亮氏主催のフジテレビ女性アナウンサーが同席する「懇親会」(宴席)に出席していたという。
調査報告書によると参加した女性アナウンサーは少なくとも19人いたとしている。 大多亮氏と福山雅治氏は、「ひとつ屋根の下」や「ガリレオ」などに関わり、親密な関係を保ち続けていた。
報告書では、「懇親会」が開かれる経緯について、「女性アナウンサーについては、当該出演者(福山雅治氏)からLineで『女子アナの皆様との会、よろしくお願いいたします』、『新人アナに会いたいですね』等依頼され、大多亮氏はこれに応じる形で女性アナウンサーとの会合をセッティングした」と記されている。
これに対し、福山雅治氏は、「この頃だったら、スケジュールが取れますか?と問い合わせがあり、アナウンサーのかたがたも来るという流れでしたので、また皆さんとお会いしたですねと返信していた」と語っている(女性セブン9月4日特大号)
また 福山雅治氏の所属事務所アミューズは、「大多氏が主催した懇親会に本人が出席したことがあることは事実ですが、あくまで仕事先の会食にお招きいただいたとの認識のもと出席させていただいた次第であり、一連のフジテレビ問題で取りざたされているような問題はありませんでした」とコメントを発表した。あくまで、大多氏からの誘いで参加したとしている。
福山雅治と言えば、かねてラジオ番組などで下ネタを披露することで知られている。宴席で、福山雅治が、女子アナウンサーに下ネタを連発している中で、“上質なキャバ嬢”の女性アナウンサーをしたがえた得意満面の大多氏の姿が目に浮かぶ。これがフジテレビの企業風土だったのだろう。
Aさんへの中居正広性加害問題が起きる“土壌”が見て取れる。こうした“ハラスメント”宴席は、常態化していたと想像できる。
大多氏や港浩一前社長などの旧経営陣は辞任して、新生フジテレビとしてスタートをきろうとしている。しかし、過去の負の遺産は余りにも大きく、その〝清算〟は当分、終わらない。