北京冬季五輪2022 競技会場 延慶クラスター 張家口クラスター

延慶クラスター  延慶赛区
 延慶クラスターは、北京中心部の北西約75kmの山間部に位置し、温泉や国立公園、スキーリゾート、万里の長城の八達嶺などがあるリゾートエリア。「延慶奥林匹克園区」が建設され、国家アルペンセンターや国家スライディングセンター、延慶選手村、延慶オリンピック・パラリンピック展示センターが整備された。アルペンスキー、ボブスレー、リュージュ、スケルトンのそり競技など4競技が行われる。
高速鉄道、京張高鉄
五輪新幹線 京張高鉄   出典 Record China
 習近平政権は張家口や延慶を結ぶ高速鉄道、京張高鉄173kmを建設し、大会に合わせて営業運転を開始した。最高時速350km、北京清河駅から張家口太子城駅まで50分、延慶駅までは26分、張家口崇礼駅まで65分で到着する。
北京冬季五輪 5G+4K/8K+AI 京張高鉄
国家アルペンスキーセンター「国家高山滑雪中心」 アルペンスキー
国家アルペンスキーセンター    出典 Bejing2022
 冬季五輪の花形、アルペンスキーは、標高2198mの小海沱山の斜面に整備した国家アルペンスキーセンターで開催、総延長約9キロのコースは、標高差が約900メートルに及ぶ。アルペンスキー競技(高山滑雪)の会場には、スタートからゴールまで最低で800メートルの標高差が必要となる。3本の競技コースと4本の練習コースなどが設けられた。 「カーブが多く難易度は高い」とされ、中国国内では最大級のアルペン・コースである。
 北京冬季五輪の難点は、「雪不足」、もともと積雪が少ない延慶エリアでは雪対策が最大の課題である。
 組織委員会では、170台の増設機と22台の圧雪機をフル稼働させて、約5580平方メートルの造雪と55万平方メートルの圧雪を実施、積雪の平均深さ、2メートルを維持した。
 五輪競技を開催するためには、雪面の厚さや固さなど厳格化な基準をクリヤーしなければならない。
造雪には大量の水が必要。「持続可能な五輪」との整合性に大きな疑問が残る。延慶では造雪に100万立方メートル以上の水を使用したという。
 延慶や張家口が立地する河北省はゴビ砂漠の東端で一年中乾燥する。雪はほとんど降らない。頼りは人工雪で、組織委は「人工雪の使用率は90%」としている。
 また環境問題も発生している。
 国家アルペンスキーセンターは、北京で2番目に標高が高いこの海陀山の山麓の山林を切り開いて設けられたが、約4600ヘクタールに及ぶ広大な「松山自然保護区」エリア内にある。このため環境保護団体から多くの希少少植物や野鳥の生息に影響が出るとして批判が巻き起こった。
国家スライディングセンター 「国家雪車滑雪中心」 ボブスレー スケルトン リュージュ
国家スライディングセンター Bejing2022
 施設の総面積は約6万平方メートル、コースの全長は1.9キロメートル、垂直差は120メートル以上、世界で17番目、アジアでは3番目、中国国内では初のスライディング・センターである。コースの一部がらせん状に360度回る形状が特徴という。
延慶選手村  「冬奥村」
延慶選手村  出典 Bejing2022
 延慶選手村(「冬奥村」)は延慶郊外の小海坨(しょうかいた)山麓の中に建設され、建築面積は11万8,000平方メートル、6つの居住エリアと飲食・レジャーなどを提供する公共サービスエリアから構成される。大会開催時には、オリンピック出場選手団と関係者約1,683人分、パラリンピック約683人分の宿泊が可能となる。国家スライディングセンターやOBS山岳IBCに隣接する
 「山林の中の会場、生態環境に配慮した大会」のコンセプトを踏襲して設計された空間は、低層階で高密度な「山村式」建物で構成されている。建物全体が山林の中に点在し、傾斜屋根、プラットフォーム、分散型の半開放型中庭「クラスター」が重なり合う。6つの住宅クラスターと1つのパブリック・クラスターがある。
 住宅クラスターは居住機能を備え、選手やチーム役員に約1430床を提供する。パブリック・クラスターは総合サービス機能を備え、選手に競技用具のメンテナンス、ケータリングなどのサービスを行う。
 大会終了後、宿泊施設はリゾートホテルとして活用される。

出典 Bejing2022出典 Bejing2022出典 Bejing2022
張家口クラスター 张家口赛区
 張家口クラスター  出典 Bejing2022
 張家口クラスターは、北京の北西約180kmに位置する。新たに建設された最高時速350kmの高速鉄道、京張高鉄で、北京清河駅から張家口太子城駅まで50分、張家口崇礼駅まで65分張家口崇礼駅まで65分で結ぶ。
 河北省の北西部にある張家口市は、総面積37,000平方キロメートルを占め、人口は468万人。北京市、河北省、山西省、内モンゴル自治区の 4 つの省/市が交わる北京と中国北西部を結ぶ交通の要所である。
 国家スキージャンプセンターではジャンプ、雲頂スノーパークではフリースタイル・スキーとスノーボード競技、国家クロスカントリーセンターではクロスカントリー、国家バイアスロンセンタではバイアスロン6競技を開催新たに建設されたコアタウン、崇礼太子城にはメダル・プラザ、選手村などが設けられた。
国家スキージャンプセンター  「雪如意」 「跳台滑雪中心」 スキージャンプ ノルディック複合(ジャンプ)
国家スキージャンプセンター  出典 Bejing2022
国家スキージャンプセンター  出典 Bejing2022
 ヒル・サイズ: HS 140 Kポイント:Kポイント:125メートル/全高:136.2メートル、 Kポイント:95メートル/全高114.7メートル  観客収容人数:10,000人 建設年:2020年
  スキージャンプ施設を含むノルディック・ウィンタースポーツセンターは古楊樹村の近くに建設された。オリンピックのスキージャンプ台の費用は当初6000万ドル以上と見積もられていた。スキージャンプ台の建築デザインは中国の魔除けの如意笏に似ていることから、ジャンプ台は「雪如意」と呼ばれている。ジャンプ台には高さ40メートル、直径80メートルの円形展望台があり、パノラマレストランも併設される。
雲頂スノーパーク  出典 Bejing2022
雲頂スノーパーク  山岳IBC OBS TOWER   出典 Bejing2022
雲頂スノーパーク  「云顶滑雪公园」 フリースタイルスキー スノーボード
雲頂スノーパーク  出典 Bejing2022
雲頂スノーパーク  出典 Bejing2022
雲頂スノーパーク  フリースタイルスキー スノーボード  出典 Bejing2022
雲頂スノーパーク   スノーボード ハーフパイプ  出典  FIS
 雲頂スノーパーク(云顶滑雪公园)は、張家口市崇礼県東部に位置し、オリンピック村からは4キロメートル、車で5分の距離にある。既存のスキーリゾート施設を五輪大会開催に向けて再開発した。フリースタイル スキー(自由式滑雪)が開催されるAとスノーボード(单板滑雪)が開催されるBの2つの競技会場が整備される。 2つの会場にはそれぞれ固定席5,000席と立見席2,500席が設けられる。
 大会で使用される施設は仮設であり、大会後は所有者に戻される。
 大会後は“Genting Secret Garden Resort”と名付けられ、中国最大のスノー・リゾート施設として整備される。
雲頂スノーパーク  出典 中新網
張家口選手村 「冬奥村
崇礼太子城  張家口選手村 「冬奥村」   出典 Bejing2022
 張家口オリンピック村は、崇礼区太極路に建設され、客室1,730室、ベッド数2,640床が整備されて、大会期間中は79の国と地域の代表団から2,020人の選手と役員を受け入れる。
選手村は居住エリア、広場エリア、運営エリアの3つの機能エリアに分かれ、宿泊施設、生活施設、娯楽施設を設置。居住エリアは、9つのマンション群と1つの運営施設群で構成され、27棟のマンションや宿泊施設運営センター、フィットネスセンター、エンターテインメントセンターが設けられる。
1,192平方メートルのフィットネスセンターには、エアロバイク、スピニングバイクなど、20種類168台のフィットネス機器が設置される。
 大会期間中は、西洋料理、アジア料理、中華料理、ハラール料理、ベジタリアン料理、地元料理など24時間体制で提供。約21,700平方メートルの広場では、一般市民向けに商業サービス、スポンサーサービス、フランチャイズ、娯楽・レジャー、漢方薬展示、文化活動など、22の運営スペースを設ける。
崇礼太子城  張家口選手村 「冬奥村」 出典 Bejing2022
崇礼太子城
 崇礼太子城 太子滑雪小鎮台 文創商街  出典 Bejing2022
 崇礼太子城は、張家口ゾーンのコアエリアで、高速鉄道崇礼太子城駅に隣接している。約2890平方メートルの敷地に、総建設面積134万平方メートルの「氷と雪の町」を建設した。「文創(四季)商店街」と名付けられたショップやレストラン、カフェがエンターテインメント施設が立ち並ぶショッピングモール区域(四季商街)は雪の結晶をモチーフにした印象的な屋根が立ち並ぶ。展示ホール&ホテル区域(冰雪特色配套区)には、国際会議センターやコンベンションセンターや国際高級ホテルが建設された。
五輪大会開催時にはメダルプラザ(冬奥颁奖广场)や選手村が整備された。
 崇礼太子城内の交通機関として路面電車(「冬季五輪トロッコ列車」)が整備され、「太子城遺跡駅」やショッピングモール区域内の「太子大道(メインストリート)駅」、メダルプラザのある「奧运广场(五輪広場)駅」、「文创商街(文創商街)駅」、景観湖の「人工湖駅」、展示ホール&ホテル区域内の「冰雪会堂(ホール)駅」の計6駅を設けてシャトル運行した。線路の全長距離は約1.6km、3両編成の電車で、定員は120~150名という。
 崇礼太子城の建設を担ったのは、中信建設グループが中心となって設立した崇礼太子城プロジェクト会社(Chongli Prince City Town Project Company)で、総投資額は256億元と推定されている。 
 四季を通しての国際的なリゾート・ニュータウンの構築を目指した。大会後の持続可能な展開を確保するキーワードは、ワールドクラスの会議と展示会のプラットフォーム構築だとしている。
崇礼太子城  文創商街 出典 Bejing2022
崇礼太子城  会展酒店 エギジビション・ホール  出典 Bejing2022
国家クロスカントリーセンター 越野滑雪中心」  クロスカントリースキー ノルディック複合(クロスカントリー)
国家クロスカントリーセンター  出典 Bejing2022
 国家クロスカントリースキーセンター(越野滑雪中心)は、崇礼区太子城地区の南東の谷間に位置し、会場運営棟、選手棟、会場技術棟、会場メディアセンター、放送棟で構成されている。会場技術棟は建築面積4,890平方メートル、地下1階、地上4階建て。地下1階はドーピング検査所、1階は主に競技管理機能、2階はプラットフォーム、3階はオリンピックファミリーエリア、4階は審判、採点・計時などの競技技術室となっている。
 この施設ではインテリジェント造雪システムを採用し、すべての造雪設備を一つのプラットフォームに統合して一元管理、従来の造雪システムと比較して20%の節水を実現した。モバイル造雪システムでは、異なるコースで使用した雪をタイムリーかつ柔軟に補充し、水の無駄を削減する。
 メイントラックと夜間の山林トラックには、会場内に50メートル3本、40メートル5本、27.4メートル51本の合計59本の照明柱、高出力LED投光器が設置された。照明の最大照度は放送エリアで2000ルクス、最小照度は観客エリアで500ルクスとなる。
国家バイアスロンセンター 「冬季两项滑雪中心」 バイアスロン クロスカントリースキー
国家バイアスロンセンター   出典 Bejing2022 
 国家バイアスロンセンターは崇礼区太子城北東の谷間に位置、射撃場、トラック、スタート・フィニッシュエリア、テクニカルビルディングなどの施設を備えている。トラックは11のセクションに分かれており、全長は12.3キロメートルです。観客席は3,000以上。
 バイアスロン競技(冬季两项滑雪)はクロスカントリースキーと射撃競技を組み合わせた競技で、選手は一定周回滑走すると標的台へ射撃に向かい、射撃競技の後は、クロスカントリースキーを続ける。