- ロサンゼルス五輪2028
- ロサンゼルス五輪2028は、2028年7月14日から30日までの17日間、米国のロサンゼルス市で開催される。
2017年9月13日にペルーの国際オリンピック委員会(IOC)のリマ総会で開催地が決定した。ロサンゼルス市での開催は1932年と1984年の続いて3回目、44年ぶりの開催となる。米国内での開催は夏季大会としては1996年アトランタオリンピック以来32年ぶりで5度目、冬季大会を含めば2002年ソルトレークシティオリンピック以来26年ぶりで、9度目の開催となる。
ロサンゼルス五輪の1回目は、1932年に開催、しかし1929年10月の世界恐慌の影響で、選手及び役員の派遣を見送った国が続出して前回大会の約半分にまで減り、スタジアム周辺は、失業者のデモに見舞われたという。
2回目の大会は、1984年に開催、大会組織委員長に就任したピーター・ユベロスは「1セントも税金は使わない」と宣言し、徹底した開催経費削減と、スポーンサー収入と放送権料の増収戦略を展開する「商業化五輪」を推し進め
2億1500万ドル(約400億円)の黒字を出し、世界を驚かせたのは記憶に新しい。
この大会では、旧ソ連との対立で激震に見舞われた。米国はモスクワ五輪1980で、ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議して、西側諸国などにボイコットを呼びかけた結果、日本、西ドイツ、大韓民国、サウジアラビアなどの7ヵ国同調した。その報復としてソ連や東側諸国は本大会をボイコットして大会の成功が危ぶまれた。しかし、史上最高の140の国と地域が参加し、大会は成功裏に終わった。
- 紆余曲折のロサンゼルス五輪2028の招致
- 2015年1月、米国の2028年夏季五輪立候補都市はボストンに決まった。 米国の立候補都市は、米国オリンピック委員会(USOC)が国内選考を実施して一つの都市に絞る。ボストンの競争相手はロサンゼルスやサンフランシスコ、ワシントンD.C.だった。
しかしボストンの地元では、巨額の経費負担の懸念から、五輪開催反対の意見が根強く、地元のメディアが行った世論調査で五輪招致の支持率は36%にとどまっていた。住民の納得が得られない五輪開催にボストン市は苦悶していた。
こうした状況を察して、米国オリンピック委員会(USOC)は大会運営で赤字が生じた場合、ボストン市が全額を補償するよう求めた。
これに対して2015年7月、ウォルシュ・ボストン市長は、「市の将来を担保に入れることを拒否する」と述べ、現時点では市の予算で大会の赤字を補うことはできないとし、住民の理解の得られない五輪招致に難色を示した。
これを受けて、米国オリンピック委員会(USOC)は立候補を取りやめることでボストン側と合意したと発表した。
ボストンの辞退を受けて、大会招致に手を上げたのは、ロサンゼルス市だった。
2015年9月、米国オリンピック委員会(USOC)は、ロサンゼルス市が招致に立候補すると発表した。ロサンゼルス市は1932年と84年に五輪を実施しており、ロンドンに並ぶ3度目の開催を目指す。
ロサンゼルスのガーセッティ市長は「この街は世界最高のステージだ」と意欲を示した。
混迷の展開 2024五輪大会招致レース 有力都市ローマの撤退
2016年2月17日、国際オリンピック委員会(IOC)はブダペスト、ローマ、ロサンゼルス、パリの4都市が 2024年夏季五輪誘致のためのビジョン、コンセプト、戦略を記した第1段階の申請書類、「立候補ファイル」を提出したと発表した。
ローマは1960年以来2回目の開催を狙う。パリは1924年の前回大会から“100年”記念の開催を狙う。ロサンゼルスは“競技場は一つも新設しない”と公言、徹底した開催費用削減に挑む。ブダペストは東ヨーロッパでの初開催をアピールしている。いずれも有力な都市が正式に手を挙げた。
2024年の五輪大会招致レースはこうして幕を開けた。
しかし、大本命の一つ、ローマ市が招致レースから撤退するという事態が発生する。
ローマのマリーノ前市長は五輪開催に意欲的で、招致委員会の責任者に元フェラーリ会長のルカ・ディ・モンテゼーモロ氏が就任して招致活動が開始された。レンツィ前首相もこれを支持した。
2016年6月、民主党の前市長が公費流用疑惑で辞任したのを受けて、ローマ市長選挙が行われ、ローマで史上初の女性市長、ビルジニア・ラッジ氏(37)が当選した。ラッジ氏は、新興政党「五つ星運動」の女性候補で、レンツィ前首相率いる中道左派の与党の民主党候補を破って当選したのである。
2016年9月、ラッジ新市長は財政難を理由に2024年夏季五輪の招致を断念する考えを表明した。ラッジ氏は会見で、「立候補に賛成するのはいかにも無責任だ。さらに借金を背負うことを、我々は良しとしない」とし、「我々は未だに1960年ローマ五輪に対して借金を返済している。五輪とスポーツに対しては何の反感もないが、町に新たなセメントを注ぎ込むための口実としてスポーツが使われることは望まない」と述べた。ローマの撤退で、2024年夏季五輪の開催都市候補として残ったのは、パリとロサンゼルス、ブタペストの3都市になってしまったのである。
- 「競技場は一つもつくらない」 ロサンゼルスのしたたかな挑戦
- 五輪招致を辞退したボストンに代わって米国の五輪大会招致都市として名乗りを上げたロサンゼルスは、次の時代の五輪のコンセプトを先取りした“コンパクト”五輪を掲げて招致をアピールしている。
2016年11月29日(日本時間)に東京で開かれた4者協議で、コーツIOC副会長が、東京大会の開催費用、「2兆円」は受け入れられないと発言したわずか数時間後に、ロサンゼルス招致委員会は、大会開催経費は「53億ドル」(約6000億円)と発表した。しかもこの中に、4億9100万ドル(約540億円)の予備費も計上済だ。破格の低予算である。「約53億ドル」は、リオデジャネイロ大会の約半分、東京大会の約3分の1である。
開催費用の削減は、最有力の強敵、パリとの競争に勝ち抜く“切り札”になってきた。
「53億ドル」は、大会運営費と競技場(恒久施設)などのインフラ投資経費(レガシー経費)の合算、ロサンゼルス周辺に30以上の既存施設があり、競技場は新設する必要がなく、低予算に抑えられたとしている。選手村はカリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)の学生寮を利用する計画だ。
これに対してパリは、1924年の前回大会から“100年”の開催を狙う。ブダペストは東ヨーロッパでの初開催をアピールした。
- ブダペスト 2024年五輪招致から撤退
- 2017年2月22日、 2024の夏季五輪に候補していた、オルバン首相は、ハンガリー・ブダペストのタルローシュ市長と会談し、招致活動からの撤退を表明した。ブダペスト撤退の引き金になったのは、招致反対派の運動で、招致の是非を問う住民投票を求めて活動を展開していた。
招致反対派は、住民投票求める署名が市の人口の約15%に当たる26万を超えたと発表した。これを受けて、ハンガリー政府は、会談後声明を出し、「五輪開催に必要な一体性が失われた」とし、招致撤退を表明した。
五輪招致を巡っては、巨額の開催経費がかかることから立候補する都市が極めて少なくなってきた。2022年緒冬季五輪では、最終的には、招致に成功した北京と落選したアルマトイ(カザフスタン)の2都市しか残らなかった。
これで2024年五輪招致に残ったのは、ロサンゼルス(米)とパリの二都市になってしまった。持続可能な五輪大会を目指す国際オリンピック委員会(IOC)の危機感は、極限にまで達した。
- 前代未聞 2024年五輪、2028年五輪の同時“決定”
- こうした危機を乗り越えるために国際オリンピック委員会(IOC)は、“秘策”を編み出した。五輪大会の安定的な開催を目論む“苦肉の策”である。
2016年6月、国際オリンピック委員会(IOC)の理事会は、2024五輪大会都市と2028の五輪大会都市を今年同時に決着することを総会に提案することを決めた。事実上ロサンゼルスとパリとで分け合って開催しようとするものである。バッハIOC会長はどちらの国が先に開催するのかは、9月13日にリマで行わるIOC総会で決められるとした。
パリは、前回大会開催からの「100年記念」の2024年の開催にこだわっているのに対し、ロサンゼルスは、柔軟な姿勢を示し、2028年開催が可能かどうか模索した。
2017年7月、パリが2024年、ロサンゼルスが2028年開催で国際オリンピック委員会(IOC)と合意し、前代未聞の2大会連続の同時決着が決まった。
- ロサンゼルス五輪2028で実施する競技は33種目
- 大会では、陸上、競泳、体操、自転車、トライアスロン、サッカー、バスケットボール、バレーボール、ラグビー7,ハンドボール、卓球、バドミントン、フェンシング、テニス、ゴルフ、柔道、レスリング、テコンドー、重量挙げ、馬術、アーテェリー、射撃、セイリング、ボート、カヌーなど28種目に加えて、追加競技5種目の合わせて33競技が実施される。
五輪大会では、毎回、開催都市が新たな追加競技を最大5競技まで採用できるが、ロサンゼルス五輪2028では、野球・ソフトボール、クリケット、ラクロス、スカッシュ、フラッグフットボールの5つの追加競技が採用された。若者に人気のあるスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンも東京大会、パリ大会に引き続き実施する。
東京五輪2020では、若者に人気があるスポーツに焦点をあてて、初めてスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンを採用した。また日本で人気のある野球・ソフトボール、空手を加えて5競技がIOCに承認され、追加競技として実施した。
パリ五輪2024では、新たな競技種目として、若者に大人気のダンス、ブレイキンを採用、東京五輪2020に引き続いて、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン、空手を採用した。野球・ソフトボールは除外された。
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