札幌冬季五輪 挫折 東京五輪2020の贈収賄・談合事件で打撃
- 2030年冬季は仏アルプス 2034年は米ソルトレーク IOC決定 札幌五輪大会誘致は消滅
- 2024年7月24日、国際オリンピック委員会(IOC)は、パリ市内で総会を開き、2030年にフランスのアルプス地域、34年に米ソルトレークシティーで冬季五輪・パラリンピックを開催すると決定した。フランスでは1992年のアルベールビル大会以来4回目、米では2002年ソルトレークシティー大会以来5回目の冬季五輪開催となる。
2030年大会については、大会が赤字になった場合に国が穴埋めする「財政保証」をフランス政府が約束することを条件とした。フランスは選挙で与党連合が敗れ、新首相が決まっていないなど政治状況が不安定となっているが、マクロン大統領は「次期首相には財政優先事項にするよう要請する」と語り、「財政保証」を確約した。
これで2030年から2034年に先延ばして冬季五輪の誘致を目指していた札幌市の目論見は完全に挫折した。東京五輪2020の贈収賄事件、談合事件で国際信用を失ったツケは余りにも甚大である。痛恨の不祥事だった。日本は東京五輪2020の残した負のレガシーの重荷を背負うことになったことを忘れてはならない。
- 札幌市、五輪30年招致を断念 34年以降に方針転換
- 2023年10月5日、札幌市の秋元克広市長は5日、2030年冬季五輪・パラリンピック招致を断念し、目指す招致時期を34年以降に転換する方針を固めた。東京大会を巡る汚職・談合事件を受けて高まった市民の五輪不信を払拭し、開催への支持を高めるのは困難と判断した
国際オリンピック委員会(IOC)は10月中旬の理事会・総会で30年大会の開催都市の内定時期を協議し、11月下旬からの理事会で内定するとみられており、札幌市やJOCは早期の決断を迫られていた。秋元市長は開催都市内定前に市民らの賛否を問う意向調査を行うと公約していたが、信頼回復が進まない中で、調査を先送りしていた。
経済界には、建設資材の高騰や人手不足などから30年度末予定の北海道新幹線札幌延伸が遅れるとの懸念が高まっており、34年大会への目標変更を求める声も一部にあった。秋元市長はこうした動きも考慮したとみられる。
札幌市は2018年9月の胆振東部地震の発生後、復旧活動を優先するとして招致の目標を2026年から2030年に先送りした。2030年招致はライバル都市がいる中で、IOCは未曽有のコロナ禍の中で、東京五輪202を成功させた運営・管理能力を高く評価しして、一時は「札幌優位」との見方が氏は支配していた。
しかし、22年8月以降に東京五輪を巡る汚職・談合事件が表面化し、こうした情勢は一変。市民からの開催不支持が高まり、22年12月に、札幌市積極的な機運醸成活動を当面休止する事態に追い込まれていた。
打開を図ろうと市は今年5月、東京五輪を巡る事件を受けた独自の再発防止策の策定に着手。7月に中間報告をまとめ、市民対話を通じて招致への理解を深める考えだった。秋にも賛否を問う意向調査を再び行い、賛同を得て開催内定を得るシナリオも描いていた。
再発防止策の中間報告や市民対話を行ったものの、市民の支持が高まっていない。
- 2030年冬季五輪、仏が招致検討 札幌、積極的活動は停止
- 2023年7月18日、フランス・オリンピック委員会は、札幌市が名乗りを上げている2030年冬季五輪・パラリンピックの招致を検討していると公式サイトで発表した。アルプス山脈を含む同国の東部と南東部での開催を計画している。フランスは1924年シャモニー、68年グルノーブル、92年アルベールビルで冬季五輪の開催実績がある。近年は、アヌシーが18年冬季大会に立候補したものの、平昌(韓国)に敗れた。
フランス五輪委は、すでに開催地域圏の自治体などと協議を進めており、9月中に国際オリンピック委員会(IOC)で立候補都市の計画を評価する「将来開催地委員会」に開催計画の提出をめざす方針。来年はパリで3度目の夏季五輪の開催を控えているフランス五輪委のラパルティアン会長は「30年大会は24年パリ五輪・パラリンピックの勢いを加速させる絶好の機会になる」と意欲的なコメントを出した。
2030年冬季大会は札幌市が本命視されていたが、東京五輪を巡る汚職・談合事件で世論の逆風が強まり、同市は積極的な招致活動を停止。34年開催も視野に入れているが風前の灯である。そのほか、26年大会招致にも挑んだストックホルムが招致に意欲を見せている。IOCは遅くとも来夏のパリ五輪までに開催地を決める意向を示している。
- JOC 山下会長 “札幌五輪招致 2030年以外の大会も開催努力を”
- 2023年6月15日、JOC=日本オリンピック委員会の山下泰裕会長は、札幌五輪招致について「支持率もかなり低下している。スケジュールありきだと窮屈になる」と述べ、2030年の大会以外も含め開催に向け努力する考えを改めて示しました。
山下会長は、2030年以外の大会を希望する場合も札幌を国内候補地として認める決議をしたことを受け「支持率もかなり低下している。東京大会を踏まえ、開催決定後に費用が大きく膨らむことや競技会場の変更がないよう、しっかり準備する以外に支持率を上げる方法はない。スケジュールありきだと窮屈になる」と述べ、2034年大会も含めて開催に向け市民の理解醸成などに取り組む考えを改めて示した。これで札幌冬季五輪2030招致は断念することが決定的になった。
- 札幌五輪、実現困難 機運停滞、IOCが方針転換か
- 4月14日、札幌冬季五輪招致が困難な情勢となっていること明るみ出た。東京五輪・パラリンピックを巡る汚職、談合事件の影響で日本の機運が停滞し、札幌市を最有力候補としてきた国際オリンピック委員会(IOC)が他の候補地に事実上照準を切り替えたとみられる。日本側でも34年以降への先送り論が強まっており、招致活動は仕切り直しとなる。
札幌市と日本オリンピック委員会(JOC)は引き続き招致活動を続けるが、34年大会は2002年大会を開催した実績のある米ソルトレークシティーが有力視されていて、1972年札幌、98年長野に続く日本で3度目の冬季五輪は、見通しが立たない状況となった。IOC関係者は「札幌側が全ての問題を解決しないといけない」と述べている。東京五輪贈収賄事件と談合事件で、日本の国際信用は完全に失墜した。
五輪招致が争点となった9日投開票の札幌市長選では推進派の秋元克広市長が3選を果たしたが、反対派に票が流れた。これを受け、秋元氏やJOCの山下泰裕会長が招致時期の見直しを含めて検討する必要性に言及していた。2030年大会招致には2026年大会招致に挑戦して敗れたストックホルムが今年2月、30年大会招致の検討開始を表明し、その後スイスも開催年を限定せずに名乗りを上げた。IOCは選択肢が増えた情勢も踏まえ、札幌優位としてきた判断を覆したとみられる。
- JOCと札幌市、五輪招致停止に伴い機運醸成組織を解散
- 2024年2月13日、日本オリンピック委員会(JOC)と札幌市は、冬季五輪・パラリンピックの招致活動を停止したことに伴い、官民合同で機運醸成に取り組んできた「プロモーション委員会」を解散した。13日付で委員に文書で通知した。関係者が明らかにした。 委員会は、札幌商工会議所の岩田圭剛会頭を会長とし、2022年5月に発足。政財界やスポーツ界からメンバーを集め、招致活動や五輪・パラリンピックに対する理解促進を図ってきた。委員に向けた文書でJOCは「大会や招致活動の在り方を改めて検討し、将来的な自国開催の機会を継続して探っていく」としている。 札幌市の秋元克広市長は昨年12月、招致活動の停止を表明。JOCも今月9日の理事会で、停止を決議していた。札幌五輪誘致は風前の灯となった。
- 札幌市長選 秋元氏3選 五輪招致反対2氏破る
- 2023年4月10日、札幌市長選の投票開票が行われ、無所属現職の秋元克広氏(67)=立憲民主党推薦、自民党札幌市支部連合会、公明党札幌総支部連合、国民民主党道連支持=が45万8221票を獲得し、いずれも無所属新人で、元札幌市市民文化局長の高野馨氏(64)、NPO法人事務局長の木幡秀男氏(62)=共産党道委員会推薦=を破って3選を果たした。争点となった2030年冬季五輪・パラリンピック招致については推進を掲げ、反対を訴えた他の2氏を退けたものの、得票率は前回19年の71%から56%、45万8221票に落ち込んだ。一方、高野馨氏と木幡秀男氏の「五輪批判票」は合わせて35万9526票、44%にも達し、五輪開催に批判的な有権者が激増していることが明らかになり、衝撃を与えた。五輪招致はさらに遠のいた。
- 札幌市が3社を指名停止 五輪談合事件
- 2023年3月9日、東京五輪談合事件を巡り、札幌市は9日、独禁法違反(不当な取引制限)の罪で起訴された広告会社の東急エージェンシーなど3社を同日から4カ月間の指名停止とした。起訴はされなかったが談合に関わったとされるADKホールディングスは1月19日に6カ月の指名停止としていた。
ほかに指名停止となったのはイベント制作会社のセレスポとセイムトゥー。
一方、起訴された6社のうち広告最大手の電通グループ、広告2位博報堂など3社は、登録がないため対象とならなかった。
札幌市によると、電通グループの子会社「電通北海道」とは、市が進める2030年冬季五輪・パラリンピック招致に関して直接の契約はしていないという。
- 「五輪」を争点 札幌市長選、3氏の争い
- 2023年4月9日投開票の札幌市長選は、三選を目指す現職の秋元克広氏(67)、無所属の元札幌市市民文化局長の高野馨氏(63)、共産党道委員会などが推すNPO法人事務局長木幡(きばた)秀男氏(62)の3人による争いとなった。
五輪招致反対では木幡氏と一致する高野氏は、「個人としては反対だが民意を尊重する」として、住民投票を行って賛成多数なら招致するとした。木幡氏「五輪招致は明確に反対。重視すべきは市民の暮らしや福祉だ」としている。高野氏と木幡氏で「反五輪」勢力が割れた。選挙結果は今後の招致の行方を左右する。汚職、談合事件では、大会組織委員会幹部や大手の広告代理店が利権をむさぼる腐敗構造が明るみにでた。大会招致の推進か中止かを占う選挙になる。 - 五輪組織委元次長、逮捕 談合、電通元幹部も 「一緒に受注調整」認める 独禁法違反容疑 相次ぐ不正で国際信用失墜
- 2023年2月8日、 東京五輪2020の運営業務で談合したとして、東京地検特捜部は、大会組織委員会の大会運営局の元次長・森泰夫容疑者、広告最大手「電通」のスポーツ局長補だった逸見(へんみ)晃治容疑者)ら計4人を独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで逮捕した。東京大会は昨年の汚職事件に続き、談合事件でも逮捕者が出る事態となった。
他に逮捕されたのは、いずれも業務を受注したイベント制作会社「セレスポ」の専務・鎌田義次)、番組制作会社「フジクリエイティブコーポレーション(FCC)」の専務・藤野昌彦(63)の両容疑者。
関係者によると、逮捕後の調べに、森元次長は「電通と一緒になって受注調整した」と容疑を認め、鎌田専務は否認した。逸見元局長補は任意聴取の段階で、談合を認めたという。
組織委は2018年、各競技のテスト大会の計画を立案する業務について、会場ごとに26件の競争入札を実施。9社と1共同企業体が落札した。契約金は計約5億4000万円。
全ての落札企業は、その後のテスト大会の実施運営や本大会運営の業務も、入札のない随意契約でそのまま受注した。随意契約の総額は約400億円だった。
発表などによると、森元次長ら4人は2018年2~7月、テスト大会から本大会に至る業務を対象に、面談やメールを通じて7社で受注を調整。各社の希望を踏まえて受注予定業者を決め、その業者だけが入札することなどで合意して競争を制限した疑いがある。
特捜部が談合容疑の対象にしたのは落札9社のうち7社で、広告大手「大広」と電通のグループ企業「電通ライブ」の2社は対象から外れたとみられる。
関係者によると、森元次長と電通の逸見元局長補らは入札前、各社の受注意向や過去の実績を調べ、会場ごとの受注予定業者をまとめた一覧表を作成。大半は1社しか参加しない「1社応札」となり、落札結果はほぼ表の通りだった。さらに組織委の説明資料には、落札者は本大会などの業務も原則として受注すると記載されていたという。
- 2030年札幌五輪招致 札幌市民67%「反対」、全道61% 北海道新聞世論調査
- 北海道新聞社は2022年12月16~18日、札幌市が目指す2030年冬季五輪・パラリンピック招致について18歳以上の札幌市民を対象に電話による世論調査を行った。招致への賛否は「反対」「どちらかといえば反対」と答えた人が計67%で、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計33%の2倍となった。同じ日程で行った全道調査も反対意見が計61%で、賛成意見の計39%を上回った。
札幌市民の調査で反対意見が賛成意見を上回るのは2021年4月と22年4月に続き3回連続。前回より反対意見は10ポイント増えた一方、賛成意見は9ポイント減り、差は15ポイントから34ポイントに広がった。
反対の理由を単数回答で尋ねると、札幌市民は「除雪やコロナ対策、福祉など他にもっと大事な施策がある」が48%で最多。「東京五輪を巡る汚職や談合事件で五輪に不信感が募った」の23%、「施設の整備・維持にお金がかかる」の13%が続いた。全道も同様の傾向だった。
施設整備費770億円(札幌市の負担は490億円)などの開催経費については、「お金がかかりすぎる」との回答が札幌市民44%、全道47%でともに最多。札幌市が招致の意義や経費について十分に説明しているかとの問いに対しては、札幌市民、全道とも7割超が「説明が足りない」と回答した。
一方、賛成の理由(単数回答)は、札幌市民は「経済が活性化する」が34%と最も多く、「札幌のまちづくりが進む」が20%、「子供に夢を与えられる」が19%だった。全道は「経済が活性化する」が55%と過半数で、「子どもに夢を与えられる」が2番目だった。
東京五輪を巡る受託収賄容疑で組織委員会の元理事が逮捕されたのは昨年8月。11月25日には東京五輪のテスト大会を巡る談合疑惑で、東京地検特捜部などが広告代理店大手の電通などを家宅捜索した。国際オリンピック委員会(IOC)は12月6日、開催地決定の時期を無期限で延期すると表明。札幌市と日本オリンピック委員会(JOC)は12月20日に「積極的な機運醸成活動」を当面休止し、市民、道民に加え、全国を対象にした意向調査を実施すると発表した。 - 札幌五輪の招致イベントを休止、市民の意向も再調査へ 汚職余波で
- 2022年12月20日、札幌市と日本オリンピック委員会(JOC)が20日、2030年冬季五輪・パラリンピックの招致プロセスを見直すと発表した。東京五輪汚職を受け、積極的に招致機運を盛り上げる活動は当面休止し、競技運営の透明性・公正性を重視した大会概要案を再度策定する。概要案は23年度の早い時期にまとめたうえで、市民らに招致の賛否を問う意向調査も再度行う方針だ。
- 2030年冬季開催都市、決定時期先送り 札幌冬季五輪誘致挫折か 東京五輪汚職が影響
- 2022年12月20日、札幌市が招致を目指す2030年冬季オリンピックの開催都市の決定時期について、国際オリンピック委員会(IOC)は23年秋から先送りすることを決めた。当初は今年中に候補都市を一本化する見通しだった。IOCは公式に言及していないが、東京五輪2020を巡る汚職事件が背景にあるのは間違いない。
- 冬季五輪の開催地がなくなる 追い込まれたIOCの苦悩
決定時期の先送りについて、質問されたトーマス・バッハ会長は回答を避けた。IOCのいらだちが滲み出た。
表向きにIOCが挙げた先送り理由は「気候変動などへの対応協議のため」。バッハ会長は5月に「12月の理事会で決断しなければならない」と述べ、30年大会の開催都市を年内に絞り込み、23年のIOC総会(インド・ムンバイ)で正式決定する見通しを示していた。今回、あえて決定時期を明示しなかったのは「『(事件の)沈静化を図ってほしい』というIOCのメッセージだ」とも述べていた苦悩するIOCの姿を浮き彫りにした。
IOCが危機感を抱いているのは、招致立候補都市が激減し、このままでは消滅するのではないかという懸念である。
重い財政負担や自然破壊などで、住民の反対運動が激化して招致活動を断念する都市が続出している。
2030年大会には、冬季五輪の開催実績があるソルトレークシティー(米国)とバンクーバが招致に名乗りを上げているが、ソルトレークシティーは2030年大会を開催することになれば、2028年ロサンゼルス五輪に続き夏冬連続で米国開催になってしまう。連続開催となれば、国内企業が負担に耐えられず、スポンサー集めに苦労する可能性があるとして、USOPC(米国オリパラ員会)は2034年を求めている。
一方、バンクーバーでは開催費用負担を理由に、地元のブリティッシュ・コロンビア州が不支持を表明し、招致撤退に追い込まれている。
そこで、IOCは、2030年大会と2034年大会の同時決定の可能性を求めた。夏季五輪大会開催都市では、パリ2024とロサンゼルス2028を同時決定した前例がある。 札幌市を2030年、ソルトレークシティーを2034年大会に決めて乗り切ろうとするIOCの「苦肉の策」である。同時決定について結論は出なかったが、決定時期を先送りする根拠にはなった。
しかし、札幌冬季五輪招致への市民の反発は依然として激しさを増し、IOCの目論見通りにはなりそうもない状況だ。
- 冬季五輪の開催地がなくなる 追い込まれたIOCの苦悩
- IOCが来年の総会を延期 2030年冬季五輪の招致めざす札幌に暗雲
- 9月8日、国際オリンピック委員会(IOC)はC理事会後の会見で、札幌市が招致を目指している2030年冬季五輪・パラリンピックについて、アダムス広報部長は、開催地を決めるIOC総会は来年5~6月から9~10月に延期されるこことを明らかにした。これにより、年内とされていた開催地の内定時期が年明けにずれこむ可能性も出てきた。
五輪の開催地は、かつてのような総会で複数の候補都市が投票で争う方式で開催の7年前に決めるのではなく、IOC内に開催都市選定委員会(メンバー10人程度)を設け、候補都市の調査と個別協議を重ねて、実現可能な開催計画を開催都市と「対話」を重ねて作成、そして最終的に候補都市を一つに絞り込み、理事会に推薦する。理事会はこれを審議し「承認」、いわゆる「内定」である。総会はそれを正式決定する「追認」の場であり、理事会の「承認」が事実上の決定となる。。
2030年冬季五輪の開催地は、今年12月のIOC理事会で内定するとみられていた。しかし来年半ばに総会が延期となり、内定時期が来年にずれこむ可能性が出てきた。
2030年冬季五輪・パラリンピックについては、バンクーバー(カナダ)とソルトレークシティー(米国)、札幌が立候補しているが、IOCはコロナ禍で東京大会を実現した日本の運営能力を高く評価。札幌が本命視されてきた。
東京五輪を巡る汚職事件で高橋治之元組織委理事らの逮捕され、状況は一変した。日本の大会運営能力に関する信頼感は完全に失墜した。
9月13日に予定されていた札幌市の秋元克広市長のIOC本部訪問とバッハ会長との会談はIOC側の意向で中止になった。アダムズ氏は「日程が合わなかった。再調整する」として事件と会談中止の関係は否定している。
札幌市はバッハ氏が10月、東京大会記念のハーフマラソン大会にあわせて来日するのに併せて、改めて市長との会談を調整したい考えだが成立するか微妙である。開会式・閉会式 札幌ドーム (以下 出典 札幌市)
- IOC札幌市訪問中止 「タイミング悪い」IOCの意向
- 9月5日、2030年冬季五輪・パラリンピックの招致を目指す札幌市の秋元克広市長は9月中旬、国際オリンピック委員会(IOC)本部を訪問する方向で調整していたが、訪問を取りやめた。
年内にも五輪開催地の最優先候補地が絞り込まれるとされる中、秋元氏は日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長とともに13日にもスイスのIOC本部を訪問し、バッハ会長との会談を目指していた。
関係者によると、IOC側から「他の候補都市があるなかで、いま会うのはタイミングが悪い」と返答があったという。
東京五輪組織委員会の高橋治之元理事の逮捕で、日本に対する信頼感が悪化いたここが、IOC側の判断の要因になったに間違いない。ニセコ スキー・アルペン(回転・大回転・スーパー大回転・滑降)
- 札幌五輪反対掲げ、元局長出馬へ 来春の市長選、大会招致が争点に
- 2022年7月15日、来春に行われる札幌市長選(任期満了は5月1日)に、2030年冬季五輪・パラリンピック招致に反対する市の元市民文化局長、高野馨氏(63)が、無所属での立候補を表明した。招致を推進する2期目の秋元克広市長(66)も出馬見通しで、五輪開催の是非で真っ向からぶつかることになる。高野氏は市内で記者会見を開き、市長選が事実上、五輪開催の是非を問う住民投票になると主張した。
国際オリンピック委員会(IOC)もこうした情勢の中では、開催地決定は札幌市長選挙の結果を待たざるを得ないだろう。真駒内屋内競技場 フィギアスケート ショートトラック
- 札幌で五輪招致反対デモ 「今すぐ撤退を」 東京五輪汚職も批判
- 2022年8月、五輪招致に反対する市民が札幌市中心部でデモ集会を行った。東京2020巡る汚職事件にも触れ、「明らかなIOC倫理規程違反だ」「札幌市は今すぐ(招致活動から)撤退すべきだ」などと呼びかけた。
でも集会は市民団体「札幌五輪対策室」が主催、6月に続き2回目のデモで、今回は約150人が参加した。「汚倫ピック」「政治とカネの災典」などと書かれたプラカードを掲げて、道庁や市役所前、大通公園周辺などを「五輪いらない」「生活優先」とコールしながらデモ行進した。
今年3月、札幌市は招致に関する市民1万人対象の郵送調査(回答率57.8%)による住民アンケートを実施。「賛成」「どちらかといえば賛成」が計52.2%、「反対」「どちらかといえば反対」が計38.2%で、賛成が上回っていた。
しかし、東京五輪を巡る贈収賄疑惑の歯止めのない拡大で、市民の五輪大会に対しての印象は急速に悪化していることは間違いない。北海きたえーる カーリング会場
- 東京五輪2020 高橋治之組織委元理事容疑者を逮捕 スポンサー選定で収賄の疑い 東京地検
- 2030冬季五輪大会招致で、国際オリンピック委員会(IOC)から高い評価を受けて「本命No1」とされてた札幌市の転落の軌跡のすべては始まりは東京五輪2020の元組織理事が絡んだこの前代未聞の総収賄事件だった。引き続いて明るみに出た談合事件で札幌冬季五輪招致は挫折に追い込まれた。日本は未曽有のコロナ禍の混乱の中で、無事、大会の成功を導いた優れた運営・管理能力をIOCは高く評価していた。しかし、日本の国際的評価は二つの不祥事で、すべて失墜してしまった。五輪関係者の“罪”の大きさは計りしれない。
- 2022年8月17日、東京五輪2020のスポンサー選定と公式ライセンス商品の販売をめぐり、大会スポンサーの紳士服大手「AOKIホールディングス」側から計5100万円の賄賂を授受した疑いが強まったとして、東京地検特捜部は大会組織委員会の高橋治之(はるゆき)元理事を受託収賄容疑で逮捕した。AOKIの前会長・青木拡憲(ひろのり)(83)、前副会長・青木寶久(76)、専務・上田雄久(40)の3容疑者は贈賄容疑で逮捕した。
特捜部の発表によると、高橋元理事は17年1月以降、青木前会長らから、東京五輪・パラ大会のスポンサー契約や公式ライセンス商品の契約に関して有利な取り計らいを受けたいという依頼を受けた。そのうえで、17年10月~22年3月、高橋元理事が代表を務めるコンサルタント会社「コモンズ」を受け皿に、青木前会長らの資産管理会社から計5100万円の賄賂を受け取った疑いがある。
贈賄罪は3年が公訴時効のため、青木前会長らの贈賄容疑の対象は、このうち計2800万円となった。
関係者によると、コモンズは17年9月に青木前会長らの資金管理会社とコンサル契約を結び、毎月100万円を基本とするコンサル料を受け取っていたという。
組織委は18年10月、AOKIをスポンサーの一つ「オフィシャルサポーター」に選定。五輪エンブレムを使った公式ライセンス商品として、スーツなどの販売も承認した。
組織委はスポンサー募集の専任代理店に、高橋元理事の古巣の広告大手「電通」を指名。公式商品の審査などを担う組織委マーケティング局にも、電通社員が多く出向していた。
関係者によると、AOKIの「スポンサー料」は7億5千万円とされた。このうち17年にAOKI側が先払いした2億5千万円の大半が、電通子会社を通じてコモンズに渡っていたことも判明している。残りの5億円は、電通子会社を通じて組織委に送金された。
特捜部は7月下旬、コモンズ、AOKI、電通などを幅広く家宅捜索し、押収資料の分析や関係者の任意聴取を続けてきた。特捜部は、スポンサー選定や公式商品承認をめぐって青木前会長の依頼を受けた高橋元理事が電通側に働きかけるなどし、コンサル料名目で賄賂を受け取った疑いが強まったと判断したとみられる。(出典 朝日新聞) - 2022年8月17日、東京五輪2020のスポンサー選定と公式ライセンス商品の販売をめぐり、大会スポンサーの紳士服大手「AOKIホールディングス」側から計5100万円の賄賂を授受した疑いが強まったとして、東京地検特捜部は大会組織委員会の高橋治之(はるゆき)元理事を受託収賄容疑で逮捕した。AOKIの前会長・青木拡憲(ひろのり)(83)、前副会長・青木寶久(76)、専務・上田雄久(40)の3容疑者は贈賄容疑で逮捕した。