- 楽しくなければテレビじゃない」 から「脱却」 フジテレビとフジ・メディアHD 性暴力被害めぐる再発防止策公表
「再生・改革 8つの具体策」で会見する清水賢治フジテレビ社長 出典 Yotube/Kyodo News
4月30日、フジテレビは、再生・改革に向けた取り組み状況を明らかにした。これまでDNAとして刻まれていると説明してきた「楽しくなければテレビじゃない」から脱却し、公共性と責任を再認識する。編成局、バラエティ制作局の組織を解体・再編するほか、アナウンス室を編成局から独立させ、権限を強化する。処分の厳正化などコンプライアンス体制を強化し、女性の比率アップに向け取締役に加えて管理職でも3割以上を実現としている。
一方、フジ・メディア・ホールディングスは、30日、2025年3月期通期の純損益予想を201億円の赤字に修正すると発表した。保有する固定資産(フジテレビ本社)で約260億円の減損損失を特別損失に計上する。従来は98億円の黒字を見込んでいた。 問題のスポンサー企業については、少しづつ回復しているしたが、4月単月で90社、昨年の同時期には400社だった。依然としてフジテレビ苦境は続いている。
同社は、6月の定時株主総会後に金光修社長が取締役会長に就任予定としていたが、この日の取締役会で取締役を退任することになったと発表。また、特定の者に長期間権限が滞留しない仕組みを構築するため、相談役制度を廃止するとした。 社外取締役の島谷能成氏(東宝会長)、斎藤清人氏(文化放送社長)、茂木友三郎氏(キッコーマン名誉会長)も取締役を退任する。
また元編成局局長のB氏については、弁護士からも慎重に調査を進めて欲しいと要請を受け、被害者女性の人権への配慮を重要視して、調査プロセスは遅れており、処分は5月中旬以上にずれ込むとした。清水賢治フジテレビ社長
- フジテレビ清水社長は、「『楽しくなければテレビじゃない』は、80年代のフジテレビの躍進を築いた一大スローガンであり、フジ…レビのバックボーンを貫く考え方だと思っている。フジテレビの良い所が詰まったスローガンだと思う。
こらからの「脱却」というとこれを全部捨てるのかと思われるかもしれないが、そういうわけではない。すべてを犠牲にして面白いものを作ることが大事だとういうのは曲解した考え方だ。面白いこと、楽しいことはとても大事だが、それはあらゆるものを犠牲にし成り立ってはならないし、誰かの犠牲に成り立つものではない。その戒めを込めてこういう言い方をした」と述べた。
「楽しくなければテレビじゃない」を失ったら、もはや「フジテレビ」の存在意義がない。
- 純損益が201億円の赤字 スポンサー激減90社
- FMHが同日発表した2025年3月期決算は、グループ全体で売り上げは前の年から2.8%減って5507億円、純損益が201億円の赤字(前年は370億円の黒字)となった。フジが認定放送持ち株会社に移行した2008年以降で初めて純損益の赤字に転落した。今年1月以降スポンサーがCM出稿を控える動きがあり、フジの放送収入が前年比16・0%減で1237億円になったことなどが響いた。
2026年3月期は983億円とさらなる減少を見込んでいる。
しかし今年度については100億円の最終利益を確保できると見込んでいる。 スポンサー企業の数は徐々に増加し、今年1月から5月12日までの期間で累計160社以上にのぼることを明らかにしました。
先月末までの期間では140社以上だったとして会社側は徐々に増加しているとしている。
しかし、4月1ヵ月で取引のあったスポンサーは前年の400社以上に対し約90社にとどまり、「中居正広性加害」の影響は深刻である。
- フジHD、ダルトン株主提案反対 北尾氏ら全員外す 取締役候補 全面対決
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出典 Dalton Investment
- 5月16日、フジテレビ親会社のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)は、大株主の米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」(Dalton Investment)が提案した12人の社外取締役候補全員の「選任に反対する」との意見を公表、会社提案として新たな取締役候補に前ファミリーマート社長の沢田貴司氏ら4人を充てる人事案を発表。清水賢治専務ら7人も含めた計11人を6月25日の定時株主総会に諮る。「オールドボーイズクラブ」と批判して米ダルトン・インベストメンツ側が提案しているSBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝氏ら12人はいずれも外れ、フジテレビの対決姿勢を明らかになった。ダルトン・インベストメンツは、「遺憾で、真摯に検討したとは思えない」とし、FHDはダルトン側との対話を「継続して行ってきた」としているが、「極めてミスリーディングで、候補者についての協議は一切なかった」と主張した。これに対しFHDの清水賢治社長は、「委任状争奪戦(プロキシファイト)は望んではいないが 、最終的に判断するのは株主、企業価値を高めるために実行するアクションプランなどを株主に説明していく」と述べた。
ダルトン・インベストメンツは、グループでフジ・メディアHD ( FHD) の株式を7・19%保有(2024年9月30日 有価証券報告書)。専門家は、7.19%という数字は「過半数でもないし、大多数でもないが、物を言えばそれなりの影響を与えられるパーセンテージ」としている。4月9日に関東財務局が公表した大量保有報告書によると、フジ・メディアHDの 筆頭株主に躍り出たのは、旧・村上ファンドの村上世彰氏の長女、野村絢氏が株式を買い増して11.81%を保有していることが明らかになった。2位は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で11.11%超を保有、三菱UFJ信託銀行、日本生命系の資産管理金融機関。3番手は東宝で8.99%を保有、信託銀行等を除くとかつては筆頭株主で、FMDの「安定株主」の代表だった。 3位は、日本カストディ信託銀行(信託口)で5.8%である 。 信託銀行は、個人投資家、機関投資家、外国人投資家などの顧客から投資の管理を委託されているだけで、議決権の行使は投資家が持つ。 旧・村上ファンドの村上世彰氏の長女、野村絢氏の動向が、ダルトン・インベストメンツと並んで焦点になりそうだ。
4月16日、ダルトン・インベストメンツは、フジ・メディアHDに対して、12人の社外取締役を選任することを求めた株主提案を行った。いずれも社外取締役で、社内経営陣については清水賢治氏他数人の就任を視野に入れていると見られている。SBIホールディングス会長兼社長 北尾吉孝氏 出典 SBI大学院大学
- 12人は、筆頭にSBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝氏を挙げて、北谷賢治氏(ワーナー・ミュージック・ジャパン会長)、岡村宏太郎(JPモルガン証券出身・サッポロ・ホールディング取締役)、堤伸輔氏(国際情報誌「フォーサイト」元編集長)、坂野尚子氏(元フジテレビ・アナウンサー)、James B Rosenwald Ⅲ氏(ダルトン共同創始者)、菊間稔氏(元ジャパン・ディスプレイ代表取締役社長)、福田淳氏(旧ジャニーズ事務所のタレントを抱える芸能プロダクション代表取締役社長)、松嶋恵美氏(弁護士)、田中渓氏(ゴールドマンサックス出身)、近藤太香己氏(メディア・プロモーション企業代表取締役社長)、西田真澄氏(ダルトン・グループ)。いずれの候補者も放送機関の運営については「素人」で、 ダルトン提案の脆弱性が見透かされる。
一方、この日にフジ・メディアHDは追加の4人の候補者案を示した。フジテレビの柳敦史執行役員財経局長が取締役に就くほか、社外取締役に元ファミリーマート社長の沢田貴司氏や弁護士の花田さおり氏、元森ビル専務で多摩大学大学院教授の堀内勉氏である。 フジ・メディアHDはすでに3月27日に株主総会までとして、取締役会長に金光修氏(株主総会の日に辞任を表明)、代表取締役社長に清水賢治氏を始め、取締役に若生伸子氏(フジテレビ)、安田美智代氏(フジテレビ)、石戸 奈々子氏(慶応大学大学院教授)、島谷能成氏(東宝会長 株主総会の日に辞任)、齋藤清人氏(文化放送社長 株主総会の日に辞任)、福井澄郎氏(関西テレビ会長 株主総会の日に辞任)など10人を選任している。あわあせて取締役相談役の日枝久氏が退任した。
フジ・メディアHDとフジテレビは元タレントの中居正広氏に関する一連の問題を受け、ガバナンス向上のため3月27日に役員を大幅に入れ替える人事案を公表。これに対し、フジ側に次々要求を突きつけていたダルトン側は4月16日に独自に社外取締役候補を示した。北尾氏も独自に会見を開いて「メディアとITと金融の融合」という自らの構想に引きつけてフジの改革に意欲を見せた。
株主提案について、清水賢治フジ社長は「真摯に検討する」と述べて対決回避の姿勢を見せ、4月30日には、ダルトン側が批判していたフジ側候補のうち、会長に就任予定だった金光修FMH社長、社外取締役3人を選任案から外すと発表。折衷案を模索しているとみられていた。
しかし、フジ・メディアHD取締役会は、全会一致でダルトン側の株主提案に全面的に反対することを決議。北尾氏の会見での高圧的な姿勢 に反発する意見が 広がったほか、取締役として迎えた場合に経営の意思決定が難しくなると判断したとみられる。
6月25日に開催予定の株主総会で、ダルトン側とフジテレビ側で委任状争奪戦(プロキシファイト)になる可能性が大きい。
- 5月16日、フジテレビ親会社のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)は、大株主の米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」(Dalton Investment)が提案した12人の社外取締役候補全員の「選任に反対する」との意見を公表、会社提案として新たな取締役候補に前ファミリーマート社長の沢田貴司氏ら4人を充てる人事案を発表。清水賢治専務ら7人も含めた計11人を6月25日の定時株主総会に諮る。「オールドボーイズクラブ」と批判して米ダルトン・インベストメンツ側が提案しているSBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝氏ら12人はいずれも外れ、フジテレビの対決姿勢を明らかになった。ダルトン・インベストメンツは、「遺憾で、真摯に検討したとは思えない」とし、FHDはダルトン側との対話を「継続して行ってきた」としているが、「極めてミスリーディングで、候補者についての協議は一切なかった」と主張した。これに対しFHDの清水賢治社長は、「委任状争奪戦(プロキシファイト)は望んではいないが 、最終的に判断するのは株主、企業価値を高めるために実行するアクションプランなどを株主に説明していく」と述べた。
- フジテレビ親会社(FMH)株主総会 会社側提案の11人の取締役選任案可決
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フジ・メディア・ホールディングス(FMH)」株主総会 出典 FMH/ANN
- 6月25日、フジテレビの親会社「フジ・メディア・ホールディングス(FMH)」株主総会が開催され、会社側が提案した11人の取締役の候補者を選任する案が可決され,大株主の投資ファンドが提案した12人の選任案は否決された。
株主との質疑応答の中で、かつてフジテレビの筆頭株主だったニッポン放送の経営権をめぐって会社側と激しく争った実業家の堀江貴文氏が会社の方向性について質問する場面もあった。 開始から4時間余りたったあと採決が行われ、会社側が提案した11人が約80%の圧倒的過半数の賛成を得て、全員が選任された。
■フジ・メディア・ホールディングスの大株主の出資比率(信託銀行などを除く FMHが公表)
▽「東宝」 8.83% ▽「ダルトン・インベストメンツ」 7.19%
▽旧・村上ファンドの村上世彰氏の長女、野村絢氏 5.78%
▽SBIホールディングス系の投資信託運用会社「レオス・キャピタルワークス」 5.12% ▽「文化放送」 3.70%
▽「NTTドコモ」 3.66%
▽「関西テレビ」 2.92%
フジテレビの経営再建カギとなるのは スポンサー企業の動向だが、FMHは会見で、4月~6月期のスポンサー企業数は170社、中居正広性加害問題前の約28%と依然として厳しい状況である。新体制が発足しても、トヨタ自動車やキ リンホールディングス、日本生命などはCM再開に慎重な姿勢を崩していない。フジテレビの経営再建は未だに不透明である。
- 6月25日、フジテレビの親会社「フジ・メディア・ホールディングス(FMH)」株主総会が開催され、会社側が提案した11人の取締役の候補者を選任する案が可決され,大株主の投資ファンドが提案した12人の選任案は否決された。